MCコジマのカルチャー編集後記

防災のためにモバイルバッテリーを見直すのもアリ【倶楽部】

文●コジマ

2016年09月02日 08時00分

 いざというとき、デジタルガジェットがおおいに役立つことがあります。連絡手段としてももちろん、情報の収集の手段としても優秀。デマに惑わされないよう気をつけるのは当然のことですが……。あるいは気晴らしになるというのも重要です。やることがないときに、何か暇つぶしができる。それもガジェットの利点。

 そうなれば、やはりモバイルバッテリーは便利、というか、必須かも。もう持っているという人も多いでしょう。でも、それを買ったのは数年前ではないでしょうか。ヘタっている、ということもあったりして。

 最近では、薄型軽量でありながら容量の大きい製品も多いです。大容量を志向する製品もこなれた価格になってきたように思います。サブで1台、あるいはより大容量のものなど、買っておいてもいいのではないかと思います。

 バッテリーさえあればタブレットやスマートフォンが外でもバリバリ長時間使える、ってなんだか未来だなあ……と思った筆者。今回は「未来感」(?)にあふれる名盤をご紹介します。

今日の作業“中”BGM
Kraftwerk「The Man Machine」

Image from Amazon.co.jp
人間解体(ザ・マン・マシーン)

 クラフトワークはドイツの電子音楽グループとしてあまりにも有名。1974年「Autobahn」の世界的なヒットから、1981年「Computer World」を一つの頂点として、「テクノ」そして「エレポップ(テクノポップ)」という音楽の成立に多大な影響を与えました。日本のバラエティー番組でも、クイズコーナーなどで使われていたりしますね。

 この「The Man Machine」は1978年発表。この年には日本でYMO(イエロー・マジック・オーケストラ)がデビュー、アメリカではディーヴォのファースト・アルバムがリリースされました。まさにテクノ元年といえるかも。

 ロシア・アヴァンギャルド的なジャケットからも、レトロSF的な世界観がむんむん(「Metropolis」という曲はSFの古典である1927年のドイツ映画から取られたわけですね)。ちなみに邦題は「人間解体」です。どうして「The Man Machine」が「人間解体」になるのか。そういう時代と言ってしまえばそれまでなのでしょうが……。

 音楽自体も、相当にレトロでSFです。一度に4つぐらいしか音が鳴っていないのではと思わせるぐらいの単純なアレンジ。「電子音です!」という音色のシンセサイザー。シンプルなメロディー。昨今のテクノを聴き慣れた人が初めて聴いたら、いかにもチープで、なんと前時代的なのだと思うかもしれません。

 しかし、逆に言えば、強烈にコンセプトを打ち出し、それを忠実に浮き上がらせる楽曲があれば、経年劣化などどこ吹く風、一つの古典としての音楽が作れるということを、このアルバムは逆説的に証明しています。

 たとえば、精巧に人間に似せた形にするよりも、機械を剥き出しにしたメカメカしいデザインの方が、「ロボットだ、未来だ」と思ってしまう感覚に近い。余計な要素が削ぎ落とされて記号化された電子音とメロディーが、「古きよき時代に想像された未来」を作り出します。

 誰もが抱く「未来」の想像図――テクノロジーは発達し、宇宙に生活圏を広げ、都市には光があふれていますが、一方で活動しているロボットたちは、ふとした瞬間に制御できなくなる……。このアルバムを聴くと、そんな世界を想像せずにはいられない。

 雨後の筍のように現れた彼らのフォロワーが今聴くと古臭さを感じてしまうことが多いのに対して、本人たちは当時から今に至るまで、ずっと「古典的な未来感」を提示し続けている。やはり、格が違います。


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