ケータイの電池管理のアイディアが
人の移動のノウハウになる
筆者は米国で暮らすようになって、モバイルバッテリーをほとんど持ち歩かなくなりました。自宅、仕事場、クルマの中と、充電できる場所は多くあり、出番がほとんどなくなったからです。
今回の旅には一応モバイルバッテリーを持っていきましたが、写真を撮るぐらいしか使い道がない圏外のスマホの電池はあまり減らず、結局使わずに持って帰ってくるだけでした。
ただ、東京に出張していると、複数のデバイスの電池の減り具合を考えながら、バッテリーをどのタイミングで充電するかを考えたりします。iPhoneの「低電力モード」を早い段階で駆使することもあります。モバイル世代は、電波とともに、電池残量が死活問題であり、そのマネジメントに長けているのではないかと思います。
この電源マネジメントは、電気自動車全盛の時代になると、移動に関わる知識やノウハウとして、重宝しそうです。いかに経路の途中でストップしないか、というスキルは、安全な移動だけでなく、場合や場所によっては生死を分ける可能性もありますから。
もちろん、スマホにしても電気自動車にしても、バッテリーや電源効率の技術の向上には大いに期待していますし、使いながら発電をする腕時計のような世界の実現で、充電という概念をなくしてしまうことも望んでいます。
ただ、バッテリーが持たないから、という理由だけで新しい技術への対応が遅れるよりは、人が何か能力を身につけてでも、新しいテクノロジーが利用できるようになる方が、面白い未来になるのではないかと考えています。
筆者紹介――松村太郎
1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。米国カリフォルニア州バークレーに拠点を移し、モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。
公式ブログ TAROSITE.NET
Twitterアカウント @taromatsumura