MCコジマのカルチャー編集後記

「iPhone 7の機能はガラケーにもあった」と言われても【倶楽部】

文●コジマ

2016年09月12日 08時00分

 というのは、携帯電話という大きすぎる括りの中で、かなり特殊なプロダクトのスマートフォンである「iPhone」と、様々な機種の総称「ガラケー」を比較する意味って、あまりないと思うのですよ。

 フリージャーナリストの西田宗千佳さんは、アップルの「守る」立場として、世界で10億台を売り、日本で半分のシェアを持つiPhoneでそれ(FeliCa対応、防水)ができることが大事なのではないか、と語っています(もちろん「攻め」の姿勢もある、と併せて論じていますが)。

 iPhoneというスマートフォンの大きなブランドが、FeliCaが使える、防水機能をそなえる。その意味合いに対して、「ガラケーは何年も前からそれができていた」と俎上に載せることに、筆者はそれほど必然性を感じない。

 もちろんiPhoneという存在は至上のものであるとか、ガラケーの存在を貶めたいとか、そういう話ではありません。アップルは偉大だ……と声高に言いたいわけでもありません。ただ、議論としては深い意味を持たないのではないかな、と思うのです。

 ちょっと頭の固いやつだ、ネタにムキになっているのじゃないか……と思われてしまったでしょうか? そんなコリをほぐすような、ちょっと素朴な響きが面白い音楽を紹介して、記事としてのバランスを取ってみましょう。

今日の作業“中”BGM
Jack DeJohnette「The DeJohnette Complex」

Image from Amazon.co.jp
The DeJohnette Complex

 変わったアルバムだな――というのが、初めて聴いたときの感想。ジャック・ディジョネットの1969年のソロアルバム、「The DeJohnette Complex」です。

 ジャック・ディジョネットというジャズ・ドラマーは、マイルス・デイヴィスのグループにも参加歴があり、キース・ジャレット・トリオのメンバーでもある、現代ジャズ屈指の実力者。

 意外なところではピアニストとしての顔もあって、自身がピアノを弾いたアルバムも残しています。では、このアルバムでは……なんとまあ、メロディカ(鍵盤ハーモニカ。「ピアニカ」という商標でもおなじみ)を吹いているのですよ。


 もちろん自身がドラムを叩いている曲もあるのですが、多くの曲ではロイ・ヘインズ(彼もまた実力のあるドラマーですが)にドラムを任せてしまい、メロディカ演奏に徹しています。

 アグレッシブなフリージャズ系の楽曲もあり、ジャズファンク寄りの楽曲もありと、幅広くプレイしていますが、やはりメロディカの独特な音色に耳が引かれますね。レコードではA面とB面の最後にそれぞれ収録されていた「Requiem Number 1」「Requiem Number 2」など、風にたなびくような音が、不思議な郷愁感を呼び起こしてくれる。

 しかしなんといっても、目玉は1曲目「Equipoise」。本アルバムにも参加しているピアニスト、スタンリー・カウエルの作曲した、凛々しさと美しい旋律美にあふれた名曲です。カウエルの弾くエレクトリック・ピアノと、ディジョネットのメロディカの重なり合いは、どこか遠い国の古い時代の音楽を聴いているよう。これを聴けるだけでも名盤……と断言してしまいましょう。


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