MCコジマのカルチャー編集後記

iPhone 7にそなえて家電量販店も臨戦態勢【倶楽部】

文●コジマ

2016年09月13日 08時00分

 Bluetoothイヤフォンを扱うスペースが、明らかに広がっているのです。というか、「ここにBluetoothがありますよー」というディスプレイが、なんだか大きくなっているような。気のせいかしら。

 これはもしかしてiPhone 7を意識している? と思ったらば、その横には「Lightning接続のイヤフォン」コーナーがドドンッ! とありまして。おお、明らかにそういうことじゃないか、と笑ってしまいました。

 しかし、よく考えてみれば、iPhoneは日本で3割以上のシェアを占めるドル箱プロダクトなわけです(34.1%、Kanter調べ。2016年6月時点)。買い替えの需要があれば、当然、それに対応するイヤフォンの売上も増えるはず……。そう考えて、売る側もすばやく反応しているのかもしれません。

 編集部員という仕事柄かもしれませんが、話題の新製品が出るときは、製品自体はもちろん、関連する周辺機器などのコーナーをチェックするのも面白い。「何を売りたいのか?」がぼんやりと見えてきたりします。

 今回は「New」なiPhoneの話でした。それに繋げて(?)、その名も「New Musik」というバンドを紹介しましょう。

今日の作業“中”BGM
New Musik「Anywhere」

Image from Amazon.co.jp
エニウエア

 ニュー・ミュージックは1980年代に活動した、トニー・マンスフィールドを中心としたイギリス出身の4人組。ちなみに日本の音楽ジャンル名とはまったく関係ありません。

 トニー・マンスフィールドは80年代の売れっ子プロデューサーとして有名で、A-haのデビューアルバム、ダムドのベーシストであるキャプテン・センシブルのソロアルバム、ネイキッド・アイズ(これまた時代を感じますね……)などを手がけています。

 ビートルズ直系のいかにもイギリスなメロディーが楽しくポップな「From A to B」(日本盤のライナーノートは糸井重里氏が執筆)、本作「Anywhere」、シンセサイザーの音作りにこだわりすぎて実験的なレベルまでいってしまった感もある「Warp」と、3枚のアルバムを残し解散しました。

 ポップな1st、実験的な3rdというわけで、このセカンドアルバムはその中間という感じ。キラキラしていながらどこか陰のあるシンセの音色、チープで抜けのよいリズムマシーン、シャキシャキしたアコースティックギター、ホワイトノイズを加工したパーカッション。ギラギラ、ピコピコ……というわけではなくて、水面をすべっていくような軽やかさを持った音楽です。



 当時流行していたシンセサイザー、プロフェット 5(Prophet 5)の音色が全開。潜水艦のソナーのような「コー」という音がやたら使われているのも特徴的。マンスフィールドの歌声には、全体的にこだまが響くように淡く加工してあり、それがこのアルバムの雰囲気を決定づけている気もします。

 さわやかではあるのだけれど、脳天気に明るいというわけではない。どこか憂いも翳りもある。ジャケットに広がる青空と暗い雲の対比が、まさに内容を表していると言ったら、おおげさに過ぎるでしょうか。いかにも80'sのエレポップといって片付けるにはもったいない、不思議な傑作です。


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