解説記事もありますが、カンタンに言うと、iOSの「Assisted Touch」機能でいつでもiPhoneの音を消せるようにしてからカメラを起動し、シャッターを切る前にソフトウェアボタンをタップして消音すると、シャッター音も消えてしまうというもの。
なかなかの裏ワザですが、iOSにはかつて、「溜まった未読メールを一発で開封済みにする」、「フォルダーの中にフォルダーを入れる」など、よく見つけたなあ……と思うようなtipsがあったりしたものです。
それらのテクニックは、iOSのアップデートによってできなくなったり、もっとカンタンに操作できる機能が追加されたりして、忘れ去られていきました。このシャッター音を消す裏ワザもそうなるのでしょうか。個人的には、もうそろそろiPhoneのカメラのシャッター音はなくなってもよいと思うのですが……。
今日は「カメラ」の話題なので、それにちなんだ名前のバンドのお話を一つ。
今日の作業“中”BGM
Bruce Woolley & The Camera Club「English Garden」
Image from Amazon.co.jp |
イングリッシュ・ガーデン |
ブルース・ウーリーを知っている人はかなりの音楽マニアだと思います。バグルズ(The Buggles)の大ヒット曲「ラジオ・スターの悲劇(Video Killed The Radio Star)」の作者として、一部の人には有名。
といっても、解説が必要でしょうね。まず、イギリスの歌手にティナ・チャールズ(代表曲は「Cookie Face」など)という人がいまして、この人のバックバンドに、ギタリストとして参加していたのがブルース・ウーリー。このバンドに、のちにバグルズを結成するトレヴァー・ホーン、さらにキーボード奏者のジェフリー・ダウンズがいました。
彼は共同でデモ・テープを作成し、アイランド・レコードに送ったところデビューが決まります。その流れでバグルズのデビュー・アルバム「The Age of Plastic」のレコーディングにも参加していたブルース・ウーリーですが、途中で自らのバンドを結成してバグルズを脱退。それがブルース・ウーリー&ザ・カメラ・クラブです。残念ながら、アルバムは本作しか残していません。
因縁の(?)「ラジオ・スターの悲劇」もアルバムで演奏していまして、聴き比べると、その違いは明らか。ブルース・ウーリー&ザ・カメラ・クラブの演奏は、いかにもな1980年代の英国ポップというべきか、初期のXTCや、エルヴィス・コステロを彷彿とさせるような勢いのあるもの。イントロもシンプル、テンポも速め。
一方、世界的にヒットしたバグルズのバージョンは、いかにも「何かが始まるぞ」という感じのもったいぶったイントロ、そして一聴すれば必ず耳に残る「アーワ、アーワ」というコーラス、チャーミングなメロディーの間奏……。要するに、“引っかかり”が多いのです。クセがあるともいえますが、それをポップ・ミュージックにきれいに落とし込んでヒットさせる辺りは、後にプロデューサーとして時代の寵児になるトレヴァー・ホーンのセンスでしょう。
ではブルース・ウーリー版が悪いかといわれれば、そういうことではない。ちょっとぶっきらぼうにも思えるラフなバンドサウンドは、これはこれで捨てがたい味がある。
今にして聴けば「80年代のよくできたエレポップ」なのですが、とにかく「ラジオ・スターの悲劇」をめぐるドラマのせい……というか、バグルズのバージョンがあまりにも有名になりすぎたせいで、割を食ってしまった感があります。なかなか魅力的な一枚なのですが。
ちなみにジャケットとアルバムタイトルを変えた再発盤がCD化されているのですが、なんと「ラジオ・スターの悲劇」がバージョン違いという謎な仕様。オリジナル仕様の再発盤はプレミアが付いてしまっているようです。こっそり、復活したりしないかな?
コジマ
1986年生まれ。担当分野は「なるべく広く」のオールドルーキー。ショートコラム「MCコジマのカルチャー編集後記」ASCII倶楽部で好評連載中!
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