“Nokia”であること以外の特徴は?
HMDがフィーチャーフォンも継続する模様であることを考えると、NokiaブランドのAndroidスマートフォンが狙うのはハイエンド市場というよりも、いまだにNokiaブランドが強いインドなどの新興国市場と欧州が中心になるのだろうか。現時点では“Nokiaブランド”以外の特徴が見えない。HMDのウェブサイトには、「世界はモバイル技術で何か新しいことを受け入れる準備ができている」「よりパーソナルなユーザー体験を構築したい」としているが、現時点では新しさよりもノスタルジーの方が大きい。
AndroidではHTCやソニーなどが苦戦を続けており、シェアトップのSamsungのほかに元気なのは中国ベンダーだ。Nokiaブランド以外に、ユーザーがNokiaのAndroidスマートフォンを買いたいと思わせることができるのか。ミレニアル世代と言われる若者はNokiaの存在すら気にかけていない可能性が大いにあるのだ。
なお、慣れ親しんだブランドをAndroidでリバイバル……同じようなことを試みているのが、Nokia/Symbianとともにスマートフォンの黎明期を支えたBlackberry(当時の社名はResearch In Motion)だ。Blackberryは2015年後半にAndroidを搭載し、QWERTYキーボードを備えた「Priv」を発表したが、成功したとは言えない。2016年の第1四半期の出荷台数は60万台と言われている。
スマートフォン市場はハイエンドで訴求してミッド/ローで台数を稼ぐという手法が今のところ成功のパターンだ。HMDがどのような市場戦略をとるのかも興味深い。
筆者紹介──末岡洋子
フリーランスライター。アットマーク・アイティの記者を経てフリーに。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている