見られたくないデータは死んでも隠し通したい! 古田雄介の「恥よ! 墓へ!」

iPhoneの死守力を手なずけろ! パスコードロックの強さを改めて知る

文●古田雄介

2017年02月05日 17時00分

囲っちゃいけないデータは絶対に囲わないこと!

 このiPhoneの特性を利用すれば、スマホの中身を墓場まで持っていくのは容易でしょう。パスコードを誰も思いつかないような数字や文字列に設定して、メモせずに頭にたたき込んでおけばいいのです。蜘蛛の糸になるApple IDも隠してしまえば万全です。

 しかし、最強のロックゆえに悲劇も招きやすいことは覚えておくべきです。思い出の写真やメッセージ、課金サービスのアカウント情報、ネットバンク口座につながる唯一の糸口などまで一緒に入れてしまうと、本気で家族を困らせます。名誉を守るために恥を隠そうとしているのに、死後に多大な迷惑をかけたということで別方向から名誉に傷がついてしまいます。

 強力な道具こそ、暴発を防ぐためにきちんと全容を理解して手なずけなければなりません。連載を通して重複しますが、くれぐれも中身をきちんと整理しておきましょう。

 ……なお、端末ロックに「iPhoneを探す」を絡めると、輪をかけて容赦なくなりますが、それは次回に見ていきたいと思います。

10回以上連続ミスの行く末

初期化設定の場合

「設定」の「Touch IDとパスコード」項目の最下段にある「データを消去」を有効にする

ロックで済ます場合

ミスの行く末に初期化を選ばない場合は、「テータを消去」をオフのままにしておく

10回以上連続ミスする

最短で10回連続ミスすると初期や端末ロックなどの最終処理に行き着く。それまでに、緊急電話と着信を除いた操作が一定時間不能になる状態を段階的に経由する。なお、意図しない処理に対応するためか、機械的に連打してミスした場合は20回連続でも最初の1分待ちが出ないことがあった

5回以上連続ミス 1分間操作不能に
さらに1回ミス 5分間操作不能に
さらに1回ミス 15分間操作不能に
さらに1回ミス 15分間操作不能に
さらに1回以上ミス 1時間操作不能
さらに1回ミス 初期化/ロック

間髪入れずに出荷時へ

最後のミスのあと、特にメッセージ表示はなく、間髪入れずに初期化が始まる

操作不能状態に

iTunesにつないで工場出荷時に戻すことできる。また、しばらくすると、前段階である1時間操作不能の状態まで戻ることもある

復旧の手はある

最新バックアップで復旧

Apple IDが分かれば、初期化後にiTunesやiCloudのバックアップデータを復旧する手がある。なお、パスコードロック中でもPCに接続してバップアップをとることはできる

iTunes暗号化型が最強

複数のバックアップ方法のうち、LINEのメッセージも含むほぼ全データが残せるiTunesの暗号化タイプが最強だ。ただし、復旧には専用パスワードを解除する必要がある

復元&コード解除

リカバリー後は初期設定する必要がある。操作者はパスコードを設定する段階から進められるわけだ。端末はいわば、中身が保存されたままで鍵だけ開いた状態になる。

古田雄介

 建築現場と葬儀社を経て2002年からライターに。毎週秋葉原でPCパーツ情報を集めるかたわら、デジタルと死生に関する動向も探っている。著書に「故人サイト」(社会評論社)、「中の人」(KADOKAWA)など。デジタル遺品研究会ルクシー理事。

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