「デジタルネイティブを疑え」
上の言葉は、東京・池袋にある立教小学校で教鞭を執る石井輝義氏の言葉です。立教小学校では、小学校3年生からiPad miniを1人1台取り入れ、さまざまな教科での活用を進めています。
確かに現在のこどもたちはスマホやタブレットをすぐに使うことはできますが、ウェブを見たりYouTubeを楽しんだりする程度で、自分の活動や学習に役立てたり、なんらかの作品を作り上げるといった活用ができるわけではないといいます。
受動的に情報を得る使い方ができることはもちろん重要ですが、それがデジタルネイティブの可能性だとは思わない、と石井氏は言います。学校におけるタブレットのより深い活用を、さまざまな授業で日常的に行うことが重要になるとの指摘でした。
Apple Teacherの学習を通じて、授業を運営する側が日常的なテクノロジー活用のハードルを下げながら、日々のゴールに向けた効果を狙っていく必要があります。
深い活用と効果を出すタブレット導入を実現することが、長期的に見て、iPadの復権を実現する鍵になるということでしょう。そこでコンピューターが苦手な先生も、iPadを使いこなし、生徒に指導できるようになることが求められ、Apple Teacherはその課題に直球で取り組んでいます。
果たして、この取り組みがどんな効果をもたらすのか。教育市場で難しいのは、新学期を逃してしまうと、多くの場合は翌年まで待たなければならない点です。
米国の9月の新学期に対してはパーフェクトなタイミングでしたが、日本の新学期にはもう間に合いません。そのため、日本での効果を確認するには、もうしばらく時間が必要となりそうです。
筆者紹介――松村太郎
1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。米国カリフォルニア州バークレーに拠点を移し、モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。
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