スマホメーカー栄枯盛衰~山根博士の携帯大辞典

新興国で絶大な人気を誇るOPPOがもたらす驚きの数々

文●山根康宏 編集●ゆうこば

2017年04月16日 12時00分

 しかし、時代がスマートフォンへと動き出すと、OPPOも果敢に参入を開始します。2011年になって満を持して投入したのが「Find(X903)」。

 しっかりしたつくりのスライド式QWERTYキーボードを搭載し、ディスプレーは4型480×800ドット。カメラは背面が800万画素。CPUはMSM8255(1GHz、デュアルコア)、メモリー1GB、ストレージ16GBと、当時としてはなかなかのハイスペック。しかも、ビジネスにも使えるハイエンドモデルをいきなり投入してきたのです。

デュカプリオのCMで話題をさらったFind

 そして、CMにはあのレオナルド・ディカプリオを採用。Findの名前にかけて、街中を徘徊するTV CMは中国内だけではなく海外でも大きな話題になりました。なにせまったくの無名メーカーがいきなりハリウッドスターを採用したからです。

 このFindの投入で、OPPOは高性能なスマートフォンもつくれるメーカーとしての認知度を高めます。とはいえ、それはまだ中国国内だけのことでした。

 ところが、2012年になると世界をあっと言わせる製品を投入してきました。「Finder(X907)」は、当時世界最薄を誇ったファーウェイ「Ascend P1 S」より0.03ミリ薄い、厚さ6.65ミリ。無名メーカーがいきなり世界最薄を更新してきたことに市場は驚きました。デザインもあか抜けており、これでOPPOの名前が少しずつ海外でも知られるようになっていきます。

 この年は「Find 3(X905)」「Find 5(X909)」と、Findシリーズのスマートフォンラインアップを拡充させていきます。Find 5はディスプレーもフルHD解像度(1080×1920ドット)に高め、CPUはSnapdragon S4を搭載するなど、フラグシップモデルとして登場。

 そして、Findシリーズの下には低価格な「R」シリーズと、若い層向けのカジュアルな「Ulike」シリーズを投入し、スマートフォンラインアップを着々と広げていきます。

Findシリーズも着々とラインアップを広げていく。写真は「Find 5」

 なお、このころはまだ中国メーカーのスマートフォンは通信方式別にモデルをつくり分けており、W-CDMAモデル、TD-SCDMAモデル、CDMA2000モデルと3タイプの製品を投入していました。

 中国のキャリアがそれぞれ別々の通信方式を採用していたからで、1モデルで全通信方式をカバーするようになるのはLTEサービスが始まる後年になります。OPPOはグローバルを意識したW-CDMAモデルも多く出していましたが、おもな市場は中国国内でした。

回転式カメラ搭載機やWQHDディスプレーのハイスペック機を次々投入

 2013年に入ると、今度は新たな機能を搭載したモデルを投入します。カメラが前後に回転するギミックを搭載した「N1」です。

 特徴なのはカメラだけではなく、ディスプレーサイズは5.9型フルHD解像度と、画面の大きさだけでも他社のスマートフォンを超える特大サイズでした。本体サイズは170.7×82.6×9ミリ、重量213グラム。とはいえ、厚みは1センチを切っています。

 そのディスプレー上部に配置された1300万画素カメラは普段は背面側を向いていて、正面側へ206度まで回すことができます。正面側にカメラを位置させるとツライチにはならないものの、N1を手に持つとちょうど顔を写すのにいい角度で止まります。

 つまり、セルフィーにも向いた端末だったのです。当時はいまほどセルフィーが盛んではありませんでしたが、OPPOはこのころから将来の人気を見越していたのかもしれません。

回転式カメラを搭載したOPPO N1

 なお、このN1からAndroidを独自に改変したColor OSを採用しています。中国メーカーは各社が独自UIをのせた改変Androidを採用していますが、OPPOはそれをColor OSと名付け、これ以降のモデルでの本格採用を進めていきます。

 N1もそのサイズとギミックで大きな話題になりましたが、やはり5.9型はサイズが大きすぎたことからか、翌2014年にはひと回り小型化した「N1 mini」を発売します。

 ディスプレーは5型HD(720×1280ドット)、CPUはSnapdragon 400とし、価格も下げました。しかし、回転カメラの画素数は1300万画素で、カメラ性能だけは落としていません。

 N1 miniはピンクやブルーなどボディーカラーをパステルカラーとして、より若い世代、とくに女性をターゲットにしました。このころからOPPOの人気は東南アジアでも少しずつ広がっていったようです。

 それはN1 miniが独特のデザインと正面側でもキレイな写真が撮れるという、他社には無い差別化された製品だったからです。

 そして、2014年にはフラグシップモデルを一新。「Find 7」はWQHD解像度(1440×2560ドット)の5.5型ディスプレーを採用し、CPUにはSnapdragon 801(2.2GHz、クアッドコア)という、大手メーカーの上位モデルにも負けない製品でした。

 メモリーも3GBと高容量、カメラは背面1300万画素に正面500万画素。もはやOPPOの製品は海外でも堂々と通用するレベルにまで達したのです。

独自の高速充電にも対応したFind 7

 また、このFind 7からは独自開発した高速充電技術「VOOC」を採用しています。専用のACアダプターが必要となりますが、端子は通常のmicroUSB。VOOCでは5V・5Aで充電し、5分の充電で2時間の通話が可能。また、30分の充電で電池を75%まで急速充電できます。

 このように、OPPOのスマートフォンはデザインや技術、そして、ギミックなど他社には無い製品づくりを続けてきました。

 その積み重ねが着々とユーザー数を増やしていったのです。2014年にはさらに複数のモデルを投入しますが、その中には再び世界を驚かせる、驚異的な製品がありました。

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