ブランドライセンスモデルは成功するのか?
Chen氏が目指すのは、エンタープライズソフトウェア企業だ。「スマートフォンの将来は、電話(フォン)の”スマートさ”であり、フォームファクタではない」とChen氏はTCLとの提携時に語っている。同社が得意とするセキュリティソフトウェア、サーバー、生産性向上のソフトウェアなどを中核としていくというのが戦略だ。
戦略は効果を出しているようだ。BlackBerryが3月末に発表した業績発表で、同社は予想を上回る好業績を公開した。なかでもソフトウェアとサービスの売り上げは前年同期比12.2%増加したとのこと。成長要因の1つが、車載用途にも利用される組み込み型OSのQNXで、最近もFordなどで採用されたことが発表された。
ハードウェアビジネスからは抜けるが、ホワイトボックスメーカーと提携してスマートフォンハードウェアのブランドは維持――これは奇しくも、MWCでカムバックしたNokiaと同じような戦略だ。Nokiaは、そのために作られたといっても過言ではないHMD Globalと独占的な契約を結んでいる。もっとも、この戦略がうまくいくかどうかの保証は両社ともにない。
TCLは2017年中にBlackBerryブランドの新機種を発表予定としており、このビジネスモデルを軌道に乗せられるかが注目される。
筆者紹介──末岡洋子
フリーランスライター。アットマーク・アイティの記者を経てフリーに。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている