アメリカがモバイル業界の中心に
あれから10年。この間、Steve Jobs氏は逝去し、Googleがその後に作ったAndroidがスマートフォン市場を占拠している。Nokiaは一旦は消え、Androidメーカーとして再生し、そのNokiaから人材を引き抜き、巨大なマーケティング費用を後ろ盾にAndroidでトップにたったSamsungは、同じような強化策で力をつけるHuaweiの猛攻を受けている。
Appleはその後、iPad、Apple Watchなどのモバイル製品を世に送り出したが、iPhoneほどの崩壊力はない。iPhoneユーザーがiPhone以外を検討しない理由で最も多くあがったのは「iPhoneは最高のスマートフォンだと思うから」だそうだ。10年が経過して、iPhoneを超える存在はない。
iPhoneが変えたのは携帯電話メーカーの勢力図だけではない。iPhone発売前の携帯電話業界は日本・韓国、欧州がリードしており、アメリカは中心ではなかった。それが、iPhoneにより様変わりし、iTunesの仕組みを使ったアプリを始め”震源地”は西海岸に移ってしまった。IT業界そのものを変えてしまったと言っていい。4Gでは日本・韓国と米国のキャリアが先行し、欧州は遅れをとった。5Gもおそらくそうなるだろう。
筆者紹介──末岡洋子
フリーランスライター。アットマーク・アイティの記者を経てフリーに。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている