「ライブ配信メディア完全解剖 〜過去と今、そして未来へ〜」

写真投稿SNSからライブ配信アプリに インスタグラムの著しい成長

文●ノダタケオ(Twitter:@noda

2017年11月16日 19時00分

利用開始以降に変更されたLive Stories仕様たち

 「Live Stories」は「Stories」と同じように、インスタグラムのホーム画面でフィード内で左から右へスワイプ(もしくは画面左上のカメラアイコンをタップ)。そして、画面下にある「通常」から「LIVE」へ切り替えることによって「ライブ動画を開始」のボタンが表示されます。ここで「ライブ動画を開始」ボタンをタップすると、カウントダウンが始まり、のちにライブ配信が開始されます。

 配信可能時間は最大60分。以前と変わらず、どのくらいらいの時間ライブ配信をしているかの経過時間の表記が配信中に表示されません。そして、配信終了を予告するカウントダウンは配信可能な時間制限である60分が近づくと、2分前から表示されます。ライブ配信中は経過時間がまったくわからないため、事前に配信をスタートした時間は自分で覚えておいたほうが良さそうです。

 ここまで、ライブ配信を開始するまでのフローはこれまでと変わりません。ただ、ライブ配信開始後と、ライブ配信終了後における仕様は、「Live Stories」が利用可能となった直後と今を比べると下記の変更がありました。

(1)Live Storiesは「すぐ消えるライブ配信」から「24時間残せるライブ配信」へ

 Live Storiesが開始された当初は「消えるライブ配信」であったのですが、2017年6月からライブ配信終了後、Storiesで24時間アーカイブの動画としてシェア(投稿)できるようになりました。

 当初は「消えるライブ配信」というリアルタイムに見ることで得られるプレミアム感をウリにしてきました。それは良い面でもあるのですが、第25回記事でも指摘をしたように、ライブ配信は人の時間を占有し、タイミングによってはどうしてもリアルタイムで見られないこともほとんどです。

 変更以前から「配信終了後の24時間くらいはアーカイブ(録画)として視聴できると、 フォロワーである視聴者(ファン)としては嬉しいのかも」と私個人的な希望がありました。現在ではLive Stories終了後、アーカイブ動画をStoriesへ「24時間残せる」ようになり、ライブ配信を見逃してしまった視聴者にとってはとても嬉しい機能であるのではないでしょうか。

(2)顔フィルターがかけられるように

 2017年9月頃から利用できるようになったのはサングラスやうさ耳などの「顔フィルター」機能。(ライブ配信開始前、もしくは)ライブ配信中の画面下にある顔のアイコンをタップすると、さまざまなフィルターが表示されるので、追加したいものをタップして選択します。

 ただ、私自身が試してみたところ、顔フィルターを有効にした直後からリップシンク(映像と音声)がズレる現象を確認しています。一回リップシンクがずれてしまうと、配信を一旦終了し、再開するまでそのズレは直らない様子。利用しているスマートフォンの機能性能の差によるものなのかもしれませんが、顔フィルターを利用する場合には注意が必要そうです。

(3)Live Storiesでもコラボ配信が可能に

 ライブ配信中、画面下の2つの顔アイコンをタップすると、いま見ている視聴者の一覧から、そのうちの一人を「ライブ配信のゲスト」として招待できるコラボ配信機能が2017年10月より導入されました。

 こちらは第66回記事でも触れたように、縦の配信画面を上下二分割で分け合う形で招待した自分と、招待された視聴者をひとつの画面で見せることが可能で、同じ場所にいなくてもまるで一緒にいるかのように複数人がリアルタイムにビデオ通話しながらその模様をライブ配信できる機能です。

(4)特定のコメントを固定表示できるように。テロップ代わりに使えそう

 この機能は第25回記事では紹介できなかったもので、新しく導入されてものではありませんが、Live Storiesの利用開始直後から使えた機能として「特定のコメントを固定表示できる」ようになっています。

 こちらは固定表示したいコメントをタップすることで「コメントを固定する」のボタンを選択すると、従来であればどんどん流れていってしまうコメントには影響せず、特定のコメントを下部に固定されます。これはちょっとしたテロップ代わりに使えそうな機能。意外に使っている人を見かけないので、もしかすると気がついていないユーザーも多いのかもしれません。

トレンド大賞となった「インスタグラム」はライブ配信のトレンドにもなるか?

 第25回記事のときに比べると、Live Stories終了後に24時間Storiesの投稿としてシェアできたり、ライブ配信にゲストを招待できるコラボ機能は、これまでの10ヶ月の間で大きく変わった(追加された)機能であると思います。

 ただ、以前として変わらないところも。例えば「PCのブラウザからの視聴できない」「配信画質の選択はできない」「予めフォロワーがいないと視聴者があまり増えていかない」「視聴者へ映像音声が伝わるまでのタイムラグが約20秒かかる」が挙げられます。

 特に、Live Storiesで新しいライブ配信との出会うことがなかなか難しい面があります。インスタグラムの検索から、いわゆる影響力のあるインスタグラマーのLive Storiesへ辿ることはできるのですが、そうでない人を探し出す術が現在のところはありません。基本的にはインスタグラムのフォロワーを増やしていかないと、結果的にLive Storiesへの視聴者へつながっていかないところは、改善に期待したいところです。

 今年11月に掲載した第65回記事で「やったことがあるライブ配信のプラットフォームはどこですか」という質問にインスタグラムと答えてくれた方の言葉で印象的だったのは「インスタのアプリひとつで視聴も配信も完結できるのがいい」という声です。

 いまやインスタグラムはとても若い年齢層のユーザーが多いソーシャルメディアのひとつ。それゆえに、ライブ配信という新しいコミュニケーションの形に興味関心をもつ人も多いように感じます。そして、少しずつインスタグラムのLive Storiesを使ってライブ配信を楽しむ人も増えているように感じます。

 2017年のトレンド大賞となったインスタグラムは年末、そして、来年2018年以降の利用者が増えていくことによって、ライブ配信のトレンドにもなり得るのか? は注目をしたいところです。

ライブメディアクリエイター
ノダタケオ(Twitter:@noda

 ネット番組の企画制作・配信、ライブ配信メディアとソーシャルメディア関連の執筆などその活動は多岐にわたる。イベント等のマルチカメラ収録・配信や、自治体・企業におけるソーシャルメディアを活用した情報発信サポート業務などもこなす。タイ王国とカフェ好き。

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