「ライブ配信メディア完全解剖 〜過去と今、そして未来へ〜」

顔出しライブ配信が普及 リアルタイム美肌・美顔機能に注目集まる

文●ノダタケオ(Twitter:@noda

2018年01月12日 18時00分

 これまでは、アウトカメラの性能を重視したスマートフォンが多く、もともとスマートフォンからのビデオ通話を目的のためとして(iPhone4頃から)登場したインカメラは、しばらくの間は必要最低限のレンズを搭載した(どちらかというと)オマケ的な存在でした。しかし、セルフィーの文化が広がったことによって、スマートフォンのインカメラもアウトカメラと同じように、インカメラの重要性が上がり、少しずつ性能も向上してきていると感じています。

 さらには、スマートフォンのインカメラ側にセルフィーのためのLEDライト、手ぶれ補正、より美顔・美肌でキレイに写すことができる機能をつけるモデルも見かけることができます。

 こうしたニーズは、セルフィーフォトやセルフィームービーだけでなく、自分撮りのライブ配信「セルフィーライブ」でも同じ。

 もちろん、インカメラの画素数、イメージセンサーやF値が良いからといって、写真や動画と同じように、スマートフォンからのライブ配信の映像クオリティーが直接的に向上するわけではありませんが、まったく無縁の話ではないと思うのです。スマートフォンのインカメラ性能が上がることによって、写真や動画だけでなく、ライブ配信でもより良い画質クオリティーの向上へつながるはず。

 いま、セルフィーライブではコンパクトなライトを使うなどの工夫をしている人が多くなりました。よりキレイ(美顔・美肌)に見せる努力をしているのは女性に多いイメージがありますが、(私自身を含め)年齢を重ねた男性にも必要であると感じています。

 もしかすると、より良い写真や動画を撮影するためにカメラやレンズを選ぶのと同じように、よりクオリティーの高い(さらにはリアルタイムな美顔・美肌を実現できる)セルフィーライブをすることを目的として、スマートフォンを(機能・仕様面から)選ぶという時代もやってくるのかもしれません。

セルフィーライブを意識したスマートフォンやライブ配信アプリも

 そして、現在発売されているスマートフォンの中には、セルフィーフォトだけでなく、セルフィーライブを意識したモデルが既に存在します。そのひとつは、ASUSから発売されているスマートフォン「ZenFone Live」。

 このZenFone Liveに内蔵された「美人エフェクトLive」アプリは、このアプリ自身がプラットフォームAPIを通じてライブ配信するのではなく、「Facebook」「YouTube」「Instagram」のアプリを拡張するアドオンのような形で、ライブ配信時にリアルタイムな美顔・美肌の機能を実現する仕組みです。

 ZenFone Liveはエントリーモデルのスマートフォンであるものの、美顔エフェクトをリアルタイムに適用することができる自撮りライブ配信に特化したスマートフォンと言え、現在ではZenFone Liveだけでなく、ZenFone 4シリーズのスマートフォンにも「美人エフェクトLive」アプリが搭載されています。

 このように、スマートフォンメーカーがセルフィーライブを念頭においたアプリレベルでのリアルタイムな美顔・美肌を実現する機能を提供したり、そもそも、ハードウェア的にインカメラの性能が上がっていくことも期待したいところです。

 さらには、ライブ配信アプリそのものにリアルタイムな美顔・美肌の機能をいれるプラットフォームも出てきています。その代表的なものは、DeNAが運営する「Pococha(ポコチャ)」の美白フィルターや、DMM.comが運営する「LIVEcommune」の美顔機能となるでしょうか。

 ライブ配信アプリに美顔・美肌の機能を入れる動きは、特に、セルフィーライブが主体となるスマートフォンに特化したライブ配信プラットフォームでこれから広がっていきそうな印象を受けます。機能的にはまだまだ「簡易的」な印象も受けるのですが、こうした機能をライブ配信アプリに取り入れていくことで、美顔・美肌の機能を売りとしたプラットフォームも増えてくるのだと思います。

美顔・美肌を求める時代だからこそバーチャルYouTuberが生まれた?

 スマートフォンのハードウェア(もしくは内蔵されるソフトウェア)でなのか、それとも、ライブ配信のアプリ上で実現されていくのかはまだ不透明ですが、いずれにせよ、セルフィーライブにおけるリアルタイムな美顔・美肌のニーズは既に存在しています。今後はなんらかの形でリアルタイムな美顔・美肌の機能を備えられるのがごく一般的になっていくように感じます。

 これまで、女性にも手軽にスマートフォン一台でライブ配信をしてもらう(ユーザーを獲得する)ために、フィルタやスタンプの機能が広がっていきました。しかしその一方で、あえて顔を出したくない(隠したい)人へのニーズにも応えるような機能も必要になってくるでしょう。

 現在のその代表格は映像ではなく静止画を配置してライブ配信をするいわゆる「ラジオ配信」の機能です。ただ、動画共有サービスYouTube上では「バーチャルYouTuber」という言葉が出てきています。さらに将来的には人の代わりに、擬似的・仮想的なキャラクター(アバター)が代わりに前面へ出てくれるようなライブ配信の機能もスマートフォンで実現されるのかもしれません。

 セルフィーライブのように自分自身が画面に映ることで視聴者とのコミュニケーションができるようになったり、自分自身が画面に映らなくても代わりにキャラクターが前面に出てくる形も、個人における多種多様なライブ配信として、配信者も視聴者も楽しめる新しいコミュニケーションの形がさらに出てくることにも期待をしたいのです。

ライブメディアクリエイター
ノダタケオ(Twitter:@noda

 ネット番組の企画制作・配信、ライブ配信メディアとソーシャルメディア関連の執筆などその活動は多岐にわたる。イベント等のマルチカメラ収録・配信や、自治体・企業におけるソーシャルメディアを活用した情報発信サポート業務などもこなす。タイ王国とカフェ好き。

mobileASCII.jp TOPページへ

mobile ASCII

Access Rankingアクセスランキング