■iPhone 8は新モデルとカニバらない
iPhone X後継モデルは、5インチ以上の大画面と顔認証に対応するTrueDepthカメラを搭載したモデル群として用意されます。そのため、iPhone 8はホームボタンを搭載するクラシックなiPhoneとしての意味合いが、ラインアップの中で生じてくるのです。
これまでアップルが1年前のモデルを値下げして販売してきました。iPhone 6以降は大きくデザインが変わっていないことから、ただプロセッサやカメラが1年前のモデルというだけの製品でした。しかしiPhone X世代のスマートフォンとiPhone 8はデザインも大きく異なります。
つまりiPhone 8シリーズは、ホームボタンが備わる最後のiPhoneとして新しいiPhone X世代と明確な差別化が生まれることになり、単なる型落ちモデルではなくなるのです。
これまでiPhone SEが人気だったように、より小さく価格が安く、いままでと同じ使い勝手で楽しめるモデルには一定の人気がありました。特に新興国やAndroidからiPhoneにスイッチするユーザーの間では、iPhone SEとともに、iPhone 6シリーズやiPhone 7シリーズが根強い人気であることもそれを裏づけています。
iPhone 8の併売と値下げは、たとえばiPhone 6やiPhone 6sのユーザーに広い選択肢を与えることになります。今までと同じ使い勝手で利用できる最後のモデルとなりうるiPhone 8シリーズか、大画面化したiPhone X世代のモデルか。そのモデル選択についての情報も飛び交うようになるでしょう。
iPhone 8は、iPhone Xと同じA11 Bionicプロセッサと1200万画素カメラを備えています。機械学習や拡張現実を生かすアプリにも、同じように対応できる製品です。未来のことは分かりませんが、iPhone 8は、今後のiPhoneの歴史の中で、意外と長く愛されるモデルになるかもしれませんね。
筆者紹介――松村太郎
1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。米国カリフォルニア州バークレーに拠点を移し、モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。
公式ブログ TAROSITE.NET
Twitterアカウント @taromatsumura