iPhoneをめぐる神経質な状況は続く
一方、トランプ政権は、iPhoneが中国で生産されているから、米国の消費者は関税によって不利益をこうむっているとして、アップルの姿勢を批判しながら中国に対する関税を正当化するでしょう。
アップルは政治的な肩入れをしないと表明してますが、ティム・クック氏自身は民主党議員に対して献金する支持者であることが明らかになっています。
トランプ政権の政策でアップルが不利益を被ることになれば、クック氏は11月に控える米国の中間選挙で、人々がトランプ政権の継続を望まない方向へと意見を表明していくでしょう。
アップルはこれまで、トランプ政策に対し、移民問題、気候変動と環境規制の問題などで意見してきました。一方で、トランプ減税や米国製造業回帰については、莫大な納税と製造業向けファンドの創設などでこたえてきました。
今後もアップルは、iPhoneが関税の対象にならないよう米中に対してロビー活動をすることになるでしょう。そのための資金は十分にあります。しかしその効果が確約されているわけではなく、神経質な状況が続いていくことになると見ています。
筆者紹介――松村太郎
1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。米国カリフォルニア州バークレーに拠点を移し、モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。
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