山谷剛史の「アジアIT小話」

メッセンジャーの自動再生など、中国Tencent製スマートスピーカーが想像以上に使えた (2/2)

文●山谷剛史

2018年07月26日 12時00分

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メッセンジャーアプリ「微信」から伝言を送ると
音声で再生してくれる

「微信」との連携が特徴

「微信」との連携が特徴

 この製品の面白いところは、専用アプリや、騰訊の微信(WeChat)での連携が充実していること。実はこれこそがこの製品の差別化された部分であり、最大の特徴と言える。

 騰訊といってイメージされるのは、微信やゲームだろうか。また動画・音楽配信のコンテンツホルダー・プラットフォーマーとしても知られる。

 また騰訊は多くの音声プラットフォームに投資していることから、騰訊自身の1700万曲という音声コンテンツも含め、提供できる音声コンテンツ数は非常に多い。

 騰訊听听は、騰訊の強みのうちの微信と音楽コンテンツの多さでほかのスマートスピーカーと差別化している。

 微信を活用した機能とは、リモートから家庭への伝言機能だ。微信からメッセージをテキストや音声で送ると、スマートスピーカーに届いて、ボタンを押すと音声化したメッセージを再生する。

 微信の多機能な微信公式アカウント機能「微信公衆号」を活用し、スマートスピーカーの微信公衆号と所有する騰訊听听を紐づけて、テキストや音声をスマートスピーカーに送っている。

日本の曲も騰訊のライブラリーから訊くことができる

日本の曲も騰訊のライブラリーから訊くことができる

 音楽については、無数のコンテンツをわかりやすく専用アプリからも提供している。専用アプリを起動すると音楽配信アプリさながらに多数の音楽コンテンツが表示され、曲そのものや曲ジャンルをタップするとスマートスピーカーから音楽が流れる。

 ほかのスマートスピーカーのようにおまけ機能ではなく、デザインなどに気を使っていてすごく使いやすい上に、騰訊が配信権を所有していて無料で音楽を聴くことができる。

 ウェイクワードからの声掛けにより希望の音楽を流すことはできるが、どんな曲があるのか、どんな曲を流したいのかといったときに、洗練された音楽配信機能がアプリに実装されているのは大変ありがたい。

ハンズフリーにこだわらないところがいい感じ

 スマートスピーカーはハンズフリーで操作できることが特徴だが、ハンズフリーだけで操作する製品である必要はない。

アプリからの選曲がわかりやすい

アプリからの選曲がわかりやすい

 わかりやすいアプリから選曲を行ない、微信からスマートスピーカーで家にメッセージを送り、スマートスピーカーのボタンを押してメッセージを聞き出す。

 必要なときに音声で操作する。微信と大量のコンテンツが強みの騰訊が見せたスマートスピーカーはそういった使える製品であった。


山谷剛史(やまやたけし)

著者近影

著者近影

フリーランスライター。中国などアジア地域を中心とした海外IT事情に強い。統計に頼らず現地人の目線で取材する手法で,一般ユーザーにもわかりやすいルポが好評。書籍では「新しい中国人~ネットで団結する若者たち」(ソフトバンク新書)、「日本人が知らない中国インターネット市場」「日本人が知らない中国ネットトレンド2014」(インプレスR&D)を執筆。最新著作は「中国のインターネット史 ワールドワイドウェブからの独立 」(星海社新書)。

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