プライバシー懸念で見えてきた
「テック企業は守ってくれない」事実
アマゾンに対しても、音声や画像認識の面で懸念が寄せられています。
アマゾンが警察等に販売する顔認識ソフトウェア「Rekognition」については今年5月以降、市民のプライバシーを侵害するとして販売の差し止めを求める声が上がっています。アマゾンは市民権を直接侵害するものではないと主張します。
また同じ2018年5月、スマートスピーカーのトップブランドであるAmazon Echoが夫婦の会話を録音し、コンタクトリストにランダムに送信していたというのです。アマゾンは、会話の中で「Alexa」という音声認識の起動キーワードが聞こえたため、会話の内容を、やはり会話に出てきた名前に送信するコマンドとして認識された、と説明しました。「断じてAlexaが盗聴やハッキングをしていたわけではない」というのです。
しかしスマートスピーカーは「Alexa」「OK Google」「Hey Siri」といった起動キーワードを認識するため、マイクがつねにONになっている必要があります。スマートディスプレーでは同じことがカメラに起きているわけで、加熱するスマートスピーカー競争に血の気が引くような冷や水を浴びせるニュースとなりました。
グーグルのGmailについても、プライバシーの懸念が高まりました。The Wall Street Journalは、グーグルがサードパーティーの開発者に対し、依然として受信箱の中身のスキャニングを許可していると報じました。グーグルは昨夏、「ターゲット広告のためにGmailの中身をスキャンすることをやめる」と約束していたにもかかわらず、です。
グーグルもフェイスブックも、ユーザーがよく理解せずにパーミッション(許諾)を与えたアプリに対して、プライバシーやセキュリティの保護をしてくれるわけではありません。であるならば、そうした企業が「ユーザーのプライバシーを保護している」と言えるのでしょうか。