カメラにこだわるなら、iPhone XRを待たなくていい
ここまで進化を明確に理解できるカメラの進化は、ここ数年のiPhoneでは経験したことがありませんでした。
アルゴリズムによる絵作りに本格的に踏み込み、1秒に5兆回処理できる A12 Bionicで8コア化されたニューラルエンジンを、カメラ進化に活用した途端の出来事、ということでしょう。
iPhone Xと同じように見えるカメラですが、圧倒的な進化を遂げており、iPhone XSを手にする最大の理由になります。大きな価格差は存在しますが、もしカメラにこだわるなら、2018年モデルのiPhoneはiPhone XRを待つべきではありません。
iPhone XRは処理性能や通信機能など、ほとんどの部分がiPhone XSと共通化されています。しかしiPhone XRはカメラが1台となっており、望遠カメラは搭載されていません。
iPhone XRのカメラでも、ポートレートモードの撮影ができるようになりました。A12 Bionicの機械学習処理で被写体となる人物を瞬時に認識し、それ以外の部分をぼかすことができるようになったからです。
しかし、それゆえに、現状では人物の背景しかぼかすことができません。デュアルカメラのiPhone XSは、人物以外でもポートレートモードで撮影できるため、そこが大きな違いとなります。
また、iPhone XRのポートレートモードは広角カメラでの撮影となるため、バストショットなどを撮影したい場合、iPhone XSの半分の距離まで被写体に近づかなければなりません。ポートレートモードの汎用性、ポートレート写真の撮りやすさから考えると、iPhone XSを選んだ方が良いでしょう。
筆者紹介――松村太郎
1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。米国カリフォルニア州バークレーに拠点を移し、モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。
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