●自動車のグレードを想起させる「R」
さて、まず気になるのは名前の話。真正面から「R」の意味は?と問うても「特別な意味は持たない」というのが公式見解でした。しかし話を聞くと、筆者の想像はさほど間違っていなかったようです。
何度か「自動車のグレードを想起させる」という言葉をブリーフィングで聞くことができました。
たしかに「S」や「R」は、自動車の上位グレードに添えられることが多いですよね。先述のAudiなんて、A4 → S4 → RS4と、SもRもつけられていますし。
ただ、エンジンや足回りだけを固めても、いい車にはなりません。ベースのグレードからして、車体の善し悪しがハイパフォーマンスモデルにも響いていきます。
このたとえで若干違和感があるのは、先行して発売したiPhone XSよりも、iPhone XRの方が安いからでしょうか。確かにコストカットする部分はディスプレーや2つ目の望遠カメラ、ギガビットLTEなどに現れています。
しかしA12 Bionic、高速化・大型化したカメラセンサー、ビールやワインでも耐えられる防塵・防水機能、P3の高色域に対応するオールスクリーンデザイン、TrueDepthカメラによるFace ID認証、デュアルSIM対応は、iPhone XSの仕様やデザインを引き継いでいました。
裏を返せば、X世代のiPhoneにとって重要な要素がここに詰まっており、コストカットしたとしても、外せない機能だった、ということになります。それにしても、アップルが「コスト削減」を堂々と語っている点は珍しかった、と感じました。