●株価急落の理由は弱気な見通し
アップルが厳しい見通しを出した背景として、外部環境からは米ドル高と消費者信頼指数の低下が挙げられます。
米国外での売り上げが6割以上を占めるアップルにとって、米ドルが他の通貨に対して強くなっていくことで、現地での販売価格の上昇や、収益を米ドルに直した際の目減りが起きます。一部新興国では通貨危機に近いレベルでの下落が見られ、そうした不安は米ドル高を強化するのです。
また市場環境悪化の見通しにより、高額化したアップル製品がこれまでのように売れていかないと考えている点も興味深い指摘でした。裏を返せば、2018年までに高付加価値化を終え、売上高を最大化できる期間にすべりこんだと見ることもできます。
こうした見通しに加え、もう1つ考えられるのが販売台数の非公表化です。2019年以降の決算では、これまでのように個別製品の販売台数を決算で発表しないという方針を述べたのです。「iPhoneが3ヵ月で数千万台売れた」というような指標は、来年以降決算発表からは得られなくなることを意味します。
深読みすれば、アップルは今後、決算発表でアピールしてプラスの材料になるような販売台数の数字を用意できない、と考えているということです。そうした見通しをポジティブにとらえられないのは当然で、結果として株価の急落というショック反応が見られました。
ただしアップルは販売台数を発表しないとする方針について、「販売台数が業績を反映しなくなった」との説明を加えました。