●ミドルクラスを作った
今回の刷新はiPadに「ミドルクラス」を創出した、という印象を受けます。最上位モデルのPro、廉価版の第6世代iPad(こちらは2018年モデルが据え置き)、そしてその中間のminiとAirという位置づけに見えています。
そう考えみると、今回のiPad miniは、アップルとしてはどちらにも答えを出しているような、答えていないような、とにかくビジネス市場でニーズがあるミドルクラスのiPadの拡充、という実直な方向性だったと見ることができるのです。
キーボードもペンシルも使いたいという人はiPad Airを選ぶべきですし、手帳的にiPadを持ち歩きたいという人にはiPad miniはぴったりでしょう。少しでも持ち運ぶ前提であれば、セルラーモデルにしておけば、気が向いたときに格安データSIMを使って便利さを倍増させることができます。
アップルはすでにiPadも他の製品とともに、四半期ごとの販売台数を公表しなくなりました。ただ、アップルとしてはミドルクラスを廉価版に次ぐボリュームゾーンにしたいと考えているでしょうし、平均販売価格も500ドル前後に保ちたいと見ているのではないでしょうか。3月末で2019年第2四半期が終わってしまいますので、新しいiPad展開の真価が問われるのは2019年第3四半期に持ち越されることになります。
筆者紹介――松村太郎
1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。米国カリフォルニア州バークレーに拠点を移し、モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。
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