石川温のPCスマホニュース解説

時代錯誤の「iPod補償金」議論 (3/4)

文●石川温

2019年03月26日 09時00分

■補償金はクリエイターに還元されているのか

 そもそも補償金は、クリエイターを守るために設定されたものだ。

 かつてレンタルCDが全盛だった時代、デジタルコピーが横行し、CDが売れなくなればクリエイターが生きていけなくなる、そのためにデジタルコピーできるものに対して補償金を載せ、クリエイターを守りましょうという仕組みであった。

 しかし文化庁での議論では「そもそも補償金がクリエイターに還元されているか不透明だ」という意見が相次いでいた。

 補償金は機器の価格に含まれており、実際に負担しているのは消費者ということになる。この補償金は補償金管理団体を経由して3つの権利者団体に分配される。その際、手数料などが引かれていき、最終的にクリエイターに還元されるのは全体の半分程度にしかならないというのだ。

 最近はストリーミング配信により、どれだけ再生されたかによってクリエイターにきちんと報酬が支払われるようになっている。もはやCD-RやiPod、ウォークマンへのコピーは下火であるため、いまからわざわざ補償金を製品に載せるというのはナンセンスなのではないか。

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