松村太郎の「アップル時評」ニュース解説・戦略分析

アップルカード誰が作れるのか問題 (4/4)

文●松村太郎 @taromatsumura

2019年04月02日 16時00分

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●Apple Card誰が入会できるのか、という問題

 クレジットカードは個人の信用力を背景に審査され、入会できるかどうか、限度額が決定されます。米国の場合は利率も変化します。一方、Apple Cardに課されている条件についてはあまり分かっていません。

 米国では社会保障番号(ソーシャルセキュリティナンバー)で個人の信用度が管理されており、自動車や住宅のローン、あるいはクレジットカードを使って適切に支払いがされていれば、スコアは上がっていきます。

 米国で暮らしはじめる人はクレジットスコアがないため、なかなかクレジットカードが作れないことが多いです。たとえば日本の航空会社の米国版カードが優遇して作れたりするので、それを作ってあらゆる支払いをそのカードに集約してクレジットスコアを作っていく、といったテクニックがあったりします。

 比較的良好なキャッシュバック比率、通常より2%程度低い利率、年会費無料、チタン製カードといった好条件は、今までのクレジットカードの常識で考えれば、相当スコアが高くなければ作れないのではないか、と想像してしまいます。

 しかし、恐らくですが、Apple Cardのターゲットはこれからクレジットカードを持つモバイルが前提の世代になるのではないか、と筆者は考えており、米国生活での感覚と矛盾している部分になります。

 裏を返せば、そうした「好条件」と「クレジットスコアがまだないターゲット層」という矛盾を乗り越えるからこそ、Apple Cardのビジネスとしての勝算があるのかもしれません。


筆者紹介――松村太郎

 1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。米国カリフォルニア州バークレーに拠点を移し、モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。

公式ブログ TAROSITE.NET
Twitterアカウント @taromatsumura

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