●インテルはモデム開発に難航
今年、クアルコムのチップを採用したAndroidメーカーが続々と5Gスマホを投入する中、アップルは苦しい立場に追いやられていく。
まず、インテルに5Gチップを開発してもらうのはいいのだが、製品化にこぎつけるには2020年にも間に合わないかもしれない状況にあった。単に5Gだけにつながるモデムチップを作るのはできるかもしれないが、2Gや3G、さらには4Gと連携しながら通信をするのが、とてつもなく難しいとされる。
インテルにはそうした技術や特許は乏しいため、開発にかなり難航していたようだ。
アップルとしてはいっそインテルと決別し、自社でモデムチップを開発するという選択肢もあった。そのためクアルコムの本社があるアメリカ・サンディエゴでも人材の採用活動をしていたようだが、ティム・クックCEOは「我々が自社開発しても3〜4年はかかるだろう」としていた。この業界で3〜4年、他社に遅れるというのは致命的なのは言うまでもない。
●助けをほのめかしたファーウェイ
窮地に追いやられるアップルを見て、ファーウェイ創業者でもある任正非CEOが「アップルに対して、うちのモデムチップを供給してもいい」とメディアに対して発言したことは話題になった。
確かにファーウェイはすでに5Gモデムチップの開発を手がけており、自社のスマホにも搭載しつつある。「iPhoneにファーウェイのモデムチップ」という可能性があったようにも見えたが、さすがにトランプ政権が「アメリカ市場から中国メーカーの通信機器を排除せよ」と言っている最中に、iPhoneにファーウェイモデルが搭載されるなんてことはありえない。
ファーウェイとしてはアメリカ市場から冷遇されていることもあり、実現しないのは最初からわかっていながら「我々ならアップルを助けられるよ」と世間に訴え、アメリカに振り向いてほしかったのかもしれない。