■Swift UIで再びiOSアプリに注目
WWDCの基調講演で盛り上がったもう1つのポイントが、アプリ開発者向けの新たなフレームワーク「SwiftUI」の登場です。
iOSアプリの開発言語として当初使われていたObjective-Cは、あまり親しみやすいものではありませんでした。これに対して2014年には「Swift」が登場し、自動でメモリ管理がされるなど、スクリプト言語に似た現代的な言語でアプリを書けるようになりました。
一方、iOSアプリの画面を作るのに必要なフレームワーク「UIKit」はSwiftの登場後も古いままでした。今回登場した「SwiftUI」は、最新のWebアプリ開発に使われるようなモダンな仕様に進化しており、快適に画面を作れるようになっています。
前職でプログラマーをしていた筆者の実感として、新しい技術やツールはどんどん増える一方で、それらを習得するのに使える時間は限られています。取捨選択は避けられない以上、開発環境が魅力的であることは重要なポイントになります。
iOSアプリの開発者が増えることで、Macにも恩恵がありそうです。1つのアプリをiPhone用、iPad用に加え、Mac用にもリリースできる「Project Catalyst」では、iPad用アプリをベースにMac用アプリを作れるようになります。
ほかにもmacOS Catalinaでは、MacのセカンドディスプレーとしてiPadを使える機能に標準で対応するなど、iPadとMacの連携を強化する方向に進みそうです。
iPadとMacの将来的な統合を期待する声はあるものの、まだアップルはその線引きを変えるつもりはないようです。その上で、両者の強みを伸ばす方向に向かって、慎重に境界線を広げようという姿勢が伝わってきます。