●空間をデザインすることに進んでいくのか?
Apple Parkの建設と同じようなタイミングで、Apple Storeのタウンスクエア型への転換が行なわれ、Apple Parkとともに、アップルにおけるデザインは、個別の製品から人が活動する空間をカバーするようになりました。
また、HomeKitで家の中を自動化し、HealthKitで人々の健康と病院を結び、CarPlayではクルマでの移動という体験にアップルが関与できるようになりました。Apple Parkは職場を、Apple Storeは店舗を、それぞれアップルなりのデザインで構築しています。
一方、アップルは2017年にARKitを披露し、拡張現実に対して技術開発を加速させています。その動きと、実際の空間のデザインへの取り組みが同調しており、これは非常に示唆に富んだ一致だと思いました。
アップルは引き続き、テクノロジーの製品をインターフェイスに、人々を拡張していくことを目指す企業であり続けると思います。しかしそのテクノロジーが介在する部分が変わり、また人々の体験のサイズも大きくなっていくのではないでしょうか。
そこにアイブ氏が関わらない点については、もう少し取材と考えを巡らせてみたい、と思いました。
筆者紹介――松村太郎
1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。米国カリフォルニア州バークレーに拠点を移し、モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。
公式ブログ TAROSITE.NET
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