■主役になるはずだった「楽天」の不在
各キャリアの新料金プランにより、定期契約の縛りを気にせず解約できるようになるとはいえ、ほかにも実質的に「縛り」として機能する仕組みは残っています。
端末販売では、回線契約との紐付けがなくなるとはいえ、各社は「残価設定ローン」のような販売モデルを10月以降も継続します。固定回線や家族割、ポイント連携を含め、ユーザーの流出を防ぐ囲い込みはますます強化される傾向にあります。
こうした状況に風穴を開けるはずだったのが、新規参入する楽天です。少なくとも夏頃までは、楽天がどういう手札を繰り出してくるのか、大手3キャリアは強く警戒していました。
ところが楽天が10月に始めるサービスは5000名に限定した「無料サポータープログラム」にとどまり、本格稼働は先になるとの見通しが明らかになりました。これに安堵した大手3キャリアは、料金水準をひとまず据え置いたのが現状です。
楽天は他社が真似できないような料金を打ち出すと予告しており、ブランドカラーにはマゼンタ色を採用しました。これは米国で既存キャリアに挑戦状を叩きつけて躍進した、T-Mobile USを模したやり方といえます。
今後、楽天が発表する料金プラン次第では、大手3キャリアが対抗値下げに踏み切る可能性は残されています。それまでの間、「主役」は不在のままという状況が続きそうです。