●まだまだ不透明な部分
アップルはU1チップの最初の活用事例をAirDropにしました。ひとつ疑問なのは、U1チップ搭載デバイス同士のAirDropの場合、何のテクノロジーを使ってファイルを送るのかということ。もしUWBを用いるファイル転送をするなら、これまでよりも飛躍的に転送速度が早くなる可能性もあります。
また現状、なんとなくそちらを向ければ、送りたいデバイスを上にリストする、というぼんやりとした機能に見えますが、実はUWBを用いることで、センチ、あるいはミリ単位の位置の補足が可能になるそうです。
AirDropにそんな精度は必要ありませんが、アップルによると「Wi-FiやBluetoothでは実現できない精度を得るため」にUWBを活用すると説明していることから、もっと精度が求められるシチュエーションへの活用も考えられますし、当然サードパーティーの開発者にもAPIが公開されることになるはずです。
そうした精度の活用でいえば、屋内であればより高精度の探し物トラッカーや、屋内ナビのビーコン的な活用、屋外であれば対人、対物のレーダー検知、そして屋内・屋外ともにARのマーカーとしての活用も考えられます。
いずれにしても、アップルはU1チップを今後のデバイス後半に導入していくことになるはず。最近問題になっているAirPodsの片耳ずつ、Apple Watch、あるいはまったく新しいデバイスにも、導入していくことになるのではないでしょうか。
筆者紹介――松村太郎
1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。米国カリフォルニア州バークレーに拠点を移し、モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。
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