キリシタン石庭を撮影せよ!
続いて大徳寺 瑞峯院。キリシタン大名である大友宗麟が、1535年(天文4)菩提寺として創建。本堂、唐門、表門(ともに重文)は創建当時のものだそうだ。表門をはじめとして建物を撮る際にもiPhone 11 Pro Maxの超広角モードは、その威力を遺憾なく発揮する。通常なら門構えしか入らないのだが、周囲の石畳の道まで入る。古都の風情が満載だ。
庭園の1つ独坐庭は、砂紋で荒海を、苔と石で蓬莱山を表す枯山水の名庭として知られる。ここでは同じ場所からiPhone 11 Pro Maxの画角の違いをご紹介しよう。
撮影データを見てお気づきかと思うが、3つの写真でシャッタースピードはほぼ同じ。レンズによる明るさとそれに合わせての感度調整をしている印象だ。カメラに詳しい方なら「シャッタースピード優先AE」に近い動作をしていると言えば、お分かりいただけるだろう。続いてPixel 4 XL。
こちらは「可能な限り感度を下げて画質を確保する」という意思を感じるAEセッティングと言える。そして上がってくる写真をみると、シャープネスを強めとして、エッジの効いた絵づくりをしているように感じた。それに比べるとiPhone 11 Pro Maxはナチュラル傾向。よってSNSに投稿して映えるのはPixel 4の方といえるかもしれない。
部屋の中から独坐庭を見る、というのもまた乙なものである。障子が額縁の効果を作りだし、テーマを浮き彫りにする。そのいっぽうで、明度差が生まれるためカメラにとっては厳しい状態となる。ここでは蓬莱山の前に帆掛け船が浮かんでいるというイメージの場所で撮ってみた。なお通常拝観では部屋の中に入ることはできない。
見た目に近いのはPixel 4 XLだ。EOS Rはストレートで撮っている都合、中央の明るさに合わせるとどうしても周囲は暗くなり、それを後日PCで(白レベルを落として全体を明るくするなど)補正して絵を作る。逆に言えばスマホの絵は補正がかけられた絵になるのだが、見た目に近いという形だ。
自然をモチーフとする独坐庭に対し、閑眠庭(かんみんてい)は石組を“十字架”に見立てる演出がなされている。ここでは縦位置で比べてみよう。
石の並びが十字架になっていることがお分かりいただけるだろうか。
雅な曼殊院門跡で紅葉を撮る!
大徳寺の別院を2つ訪問したら、今度は左京区にある曼殊院門跡へ。市バス「一乗寺清水町」下車し、坂を登ること徒歩約20分という、かなり奥まった場所にひっそりとたたずむ曼殊院門跡は、「小さな桂離宮」とも称される枯山水庭園が有名。しかし小さな庭からして、すでに雅な雰囲気なのだ。
ここで両者に大きな違いが出た。Pixel 4 XLの方が紅葉っぽい色味だ。SNSに投稿して色々な人が「いいね! しました」になるのは誰が見ても明らかだろう。いっぽう、iPhone 11 Pro Maxは「素材として使いやすい」状態で、写真を後加工しやすい。
庭園は現在一部手入れをしていたため、その一部をご紹介しよう。
ここでもPixel 4 XLの紅葉には心が躍る。投稿すれば「〇〇さん他、××名がいいね! と言っています」と表示されることだろう。曼殊院門跡は庭だけでなく、本堂の中にも魅力的な場所が多い。その中の1つ、桃山時代に作られたという虎の間(大玄関)をご紹介しよう。
実はどれも「見た目と程遠い」状態に映ってしまい、EOS Rの画像のみ敢えて見た目に近い修正を行った。派手めに出ると思ったPixel 4が最も地味な色味であったのが意外であった。