●AirDropの高度化?
UWBは近距離の高速無線通信への期待がありながら、なかなか日の目を見ない規格となっています。そして今回アップルが取り組んだのも、異なる使い方でした。
UWBは軍用レーダーとして活用されたという経緯を説明しましたが、その精度は非常に優れており、数センチの誤差での位置情報の検出に活用できます。そのため、iPhone 11・iPhone 11 Pro同士でAirDropをする際、iPhoneを向けた方にいる人がAirDropの共有相手の候補として優先的に表示される仕組みを実現しました。
AirDropをするとき困るのが、相手の端末の「名前」を知らないこと。もし相手が自分のアドレス帳に入っていれば指名などの登録名で出ますし、相手が標準のiPhoneの名前、たとえば「松村太郎のiPhone」のままで使っていれば、分かりやすくなります。
しかしAirDropで自分の氏名が出てきてしまうのはセキュリティやプライバシー上好ましくないため、端末の名前を変えるべきでしょう。そして、その人がなんとなく類推しにくい名前に変えることになり、AirDropの候補を見ても、誰がどのiPhoneのなのか分からない事態に陥るのです。
U1チップを生かしたAirDropによって、その方向にいる送りたい人のiPhoneが優先的に表示されるようになるため、ファイルのやりとりの使い勝手は高まると感じました。
※ちなみに、iPhoneの名前の変更は、「設定」アプリの「一般」をタップし「情報」をタップ。最初の行の「デバイスの名前」をタップすると編集できます。