松村太郎の「アップル時評」ニュース解説・戦略分析

アップル、iPhoneロック解除めぐりトランプ大統領と対立 (2/4)

文●松村太郎 @taromatsumura 編集● ASCII

2020年01月22日 09時00分

●個人のデータはなぜ吸い取られているのか?

 オンラインサービスやアプリの多くはログインします。ログインすることでサービスのサーバにアカウントが作られ、そこにデータを蓄積していく箱ができあがります。

 これによって、どんな端末からログインしても自分のデータにアクセス出来るし、手元で頻繁にバックアップを取る必要もありません。これが現在のモダンな、そしてモバイルを前提としたコンピューティングの世界です。

 サービス側は、使い始める際に基本的には無料にして使い始めるためのハードルを極力下げ、広告を販売して収入を増やそうとしてきました。フリーミアムモデルです。

 もっと機能を制限なく使いたい、よりたくさんのデータを蓄積したいという場合、有料プランのオプションを用意します。しかしそう簡単に有料プランへ移行してくれるわけでもありません。Googleには個人向けにも企業向けにも有料プランがあります、FacebookやInstagramなどは、Twitterは有料プランすら用意していません。

 つまり広告を販売していくことで運営費を賄おうとしています。その広告価値をどのように高めるのか?が問題になります。

 例えば、高校生にマンション販売の広告を出したり、女性に男性用下着の広告を出すと、誰もが「的外れ」だと思うはずです。ユーザーの頭にははてなが飛ぶし、それで広告費を費やされたら広告主だって怒ってしまいます。勝ってくれそうにない人のために広告費を払いたくないからです。

 そこで、ユーザーの個人情報や行動の情報、それらがにじみ出る投稿の情報を参照して、その人に合った広告とマッチングさせます。これが、現在のオンライン広告の非常にかいつまんだ説明となります。

 より多くのユーザーの情報を集めれば、その精度は高まっていきます。どんな情報を検索したのか、どんな製品のページを見たのか、誰とどこに遊びに行ったのか……。無料で広告が表示されるSNSを見ている時だけでなく、ニュース記事を開いたときにも、こうした情報が収集されていることに、アップルはGAFAのなかでほぼ唯一、警鐘を鳴らす存在となっています。GoogleもFacebookも、そうは言えないのです。

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