■世界シェア1位、米国では約60%の世界最大のスマホメーカー
■なのに、ニッチ時代のビジネス戦略を継続している?
iPhone(もう少しさかのぼるならiPod)以前のアップルは基本的にニッチな存在だった。ユーザーはジョブズ氏が描くアップルの世界に共鳴した人が中心だったと思う。
しかし、iPhoneはタッチスクリーンに代表される現在のスマートフォンの形を定義し、プラットフォーム化に成功し、アプリのエコシステムを作り上げた。
Android陣営とは10年以上にわたる競争を続けており、2023年第4四半期の世界シェアは24.7%、シェアは1位だ。2023年通年でも20.1%のシェアで1位。上位3社(アップル、サムスン、シャオミ)で2022年比でのプラス成長したのはアップルのみだ(IDC調べ、https://www.idc.com/getdoc.jsp?containerId=prUS51776424)。
米国ではアップルのポジションはさらに上がる。2023年第4四半期、Appleのシェアは62%で、ここ1年で最大となっている(Counterpoint調べ、https://www.counterpointresearch.com/insights/us-smartphone-market-share/)。
つまり、もはやニッチな存在ではないのだ。シェア拡大はアップルにとってはいいことかもしれないが、ビジネス戦略を変えずに拡大を続けると、独占禁止法の観点ではアウトになりかねないというのが今回の訴訟だろう。
アップルは声明文で、「シームレスな連動」「プライバシーとセキュリティの保護」「魔法のような体験」などの言葉を交えながら、訴訟は「激しい競争においてアップルの製品を際立たせる自社の存在と理念を脅かすもの」として対抗する意思を見せている。
筆者紹介──末岡洋子
フリーランスライター。アットマーク・アイティの記者を経てフリーに。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている