世界シェア3位の携帯電話メーカー、Huawei Technologies。スマートフォンやタブレットなどの端末のほか、無線インフラ機器、エンタープライズITの3つの事業を持ち、世界約170ヵ国で展開する巨大なICT企業だ。
そのHuaweiが深センに構える坂田キャンパスを8月末に訪ねた。ここだけで約4万人(Huaweiの全社員数は17万人)が勤務しているというが、”キャンパス”という名のとおりにとにかく巨大だ。あちこちにある社食はもちろん、寮、病院、ジムもあるという。東京ディズニーランドがまるごと4つ入る敷地面積200万平方メートルの巨大なHuaweiキャンパスの様子を写真で紹介したい。
ちなみに隣にはあのFoxconn(ホンハイ)がある。“隣”とはいっても、歩いて行ける距離ではない
今回案内してくれたHuaweiの顧客担当の新入社員のJuliaさんと運転手のJohnさん。Johnさんは勤続18年のベテランだ。会社が大きくなる前は創業者のRen Zhengfei(任正非)氏の運転もしたことがあるとのこと。
WELCOME TO HUAWEIの花文字。庭師さんだけでも結構な人数が働いているそうです
ドライバーこそ会社の隅々、いや深センを縦断しているので、聞けばなんでも答えてくれました。Huaweiは社員が株を持つ非公開企業で知られるのですが、Johnさんも株も持っているとのこと(報酬と同じ程度の収入が配当で入ってくるとか)。
一方のJuliaさんは入社してまだ2ヵ月目でういういしくて真面目。Huawei本社にやってきた顧客などの案内をするのが仕事で、Juliaさんのような人が会社には80人いるそうです。
数十ヵ所にある社食の様子。社員が集中する12時前に注ぎ置きしておく。たまにトップのRen Zhengfei(任正非)氏がフラッと饅頭を買いに来ることもあるとか。若い社員はRen氏の顔を知らないので気がつかないそうです
好きなものをトレイにとっていくという仕組み。野菜類は2~3元、肉・魚類は4~6元程度。Juliaさんはローストダック、ブロッコリー、レッドビーンスープ、豆腐、紫芋とコーンの入ったご飯を選んで、料金は17元。深センの市街より少し安いとのこと
研究開発センターの近くにある食堂では、みなさん朝からここで食べてました。満席です
朝食をみせてもらった。おかゆ、肉まん、春巻きのようなもの3つで3.5元。従業員の胃袋は食堂にあり
食の安全は気になるようで、衛生管理されていることを示すボードがあった
キャンパスのレストラン案内図。予算や状況によって分けられています(右のピクトグラム)
周囲の喧騒の中、隅にひっそりとあったイスラム教徒向けのレストラン。ハラール料理が食べられるようです。キャンパス内にはイスラム教徒向けのお祈り室も
賑わう食堂で人事部が着ぐるみを着てのキャンペーン。勤怠管理のタイムカードのアプリをダウンロードすればヨーグルトがもらえるというもの
2ヶ月前にオープンした日本食レストラン喜代川。「コンニチワ」と迎えてくれた
回るお寿司は一皿9~22元。やや高めです
従業員に人気のカフェの1つ、New World Cafe。illyのおいしいコーヒーが飲める。ラテは30元
どのレストランでも、会計エリアにさりげなく創業者Ren氏に関する本が
Huaweiの端末が買えるショップも5店舗ほどある
新製品は顧客優先のため置かれていない。「P8」は16GB版が2500元、64GB版が3500元。従業員価格というほど安くはない
キャンパス内に10店以上あるというセブン-イレブン。本場の肉まん、おでんやフィッシュボールも買えます
本格的なベーカリー。パンは6元からと高め
この桜エビのようなトッピングは豚肉を乾燥させた一種のでんぶ。下にマヨネーズが敷いてあります。慣れていないと、ちょっと……ですが、Juliaさんは食べていました
キャンパス内に2つあるというトレイン(列車)レストラン。現在松山港に建設中の新しいキャンパスでは、実際に列車がキャンパス内を巡回するとか
1つは実際に使われていた列車を持ってきたそう。創業者、Ren Zhengfei(任正非)氏の趣味のようです。鉄道好き!?
世界中のHuawei社員が一度はお世話になるというトレーニング施設。100以上の教室があり、3000人が同時にトレーニングを受けられるという。この日はデバイス事業部のチームのトレーニングが開かれており、Ren氏の好きだという歌を歌っていた。トレーニング施設の一室。”継続して改善しよう”という意味の文字がかかっています
キャンパス内は忙しい社員にとって歩ける距離(と気温)ではなく、シャトルバスが常時巡回している
ATMも社内の建物のあちこちに。主要銀行が揃っています。こちらは交通銀行のATM
ATMの左横には警察の派出所も
寮は合計3000室程度。Juliaさんも寮生活だ
寮の部屋のサイズは35平方メートルの一人向けから60平方メートル以上ある大きなものも。先着順。35平方メートルだとこんな感じ
寮は基本は独身向けだが、若いカップルで子供が小さい人も住んでいるそうで、会社のキャンパス? と思いたくなるような風景です
床屋さんも発見。ただし、Juliaさんは「ここではちょっと……」。市内のサロンが行きつけだそう
生活に必需といえば病院も。2つの病院が。こちらは北京大学深セン医院。社員は無料でケアを受けられるほか、年に1度のチェックもここで受ける
カーシェアリングサービスも発見
百草園にあるレクレーションセンターでは3階建ての建物の屋内外にプール、ジム、卓球、バトミントン、ビリヤード、ヨガ、バスケット、テニス、ビーチバレーなどができる。平日は夜11時まで開いており、休日も利用できる。夜の9時頃でも人がいっぱいだった。利用は有料だが、市内のジムより安い
寮がキャパシティ不足のため、現在車で5~10分離れたところに巨大な社宅エリアを建築中。約20階建てが30棟並び、2018~19年に完成を見込む。現在、従業員に名前をつけてもらうコンテストを実施中。これとは別に、来客用のホテルも2棟建設中とか。成長に建設が追いつかないようだ
ここもキャンパスの中。池の向こうの緑のさらに奥にトップのRen氏の自宅もある。社内に住む理由は、「なにかあったときに自分がすぐに行けるように」だそう