新型コロナを受けて5Gへの需要が高まる!? Ericssonが予想を「2025年に28億人」に上方修正

文●末岡洋子 編集● ASCII

2020年05月18日 12時00分

 Ericssonがオンラインイベント「Ericsson UnBoxed Office」を開催した。2月にキャンセルとなったMWCで予定していたセミナーをオンラインで行なうもので、初日には新型コロナウイルス感染症がネットワークに与えている影響について同社の調査から考察を明かした。

世界でモバイルのトラフィックが約20%程度増加した

 「新型コロナウイルスは5Gの必要性を認識させるものとなった。そこで我々は5Gサービスの加入者予想を引き上げる」。Ericssonで戦略マーケティング部長のPatrik Cerwall(パトリック・セルバル)氏は語った。新しい予想は2025年に28億人だ。Cerwall氏はEricssonが毎年6月に発行する「Ericsson Mobility Report」の編集長を兼任しており、イベントでは同レポートの次期版の内容を一部紹介した。

Ericsson 戦略マーケティング部長 Patrik Cerwall氏

 5G加入者予想の上方修正の背景にあるのは、新型コロナ問題だ。Cerwell氏によると、各国政府の出す外出禁止や外出自粛要請により、ネットワークに大きな変化があったという。

 トラフィックの増加は固定網で顕著だが、モバイルネットワークでも多くの市場で20%程度増加しているという。外出禁止が出た当初に音声通話(2G、3G、VoLTE)が増加するという傾向は世界で共通しており、その後落ち着いてきたものの通常よりも音声通話トラフィックは多いまま推移しているという。ピークについても、通常は夕方~夜に訪れるがこの1~2ヵ月は日中に何度もピークが訪れるパターンに変化しているという。

 なお、外出禁止が出ると最初に起こるのは音声通話の増加だけではない。Cerwell氏によると、ゲームアプリのダウンロードも40%増えるとのことだ。

通信会社の努力により、ネットワークは持ちこたえた
長期的に見れば5Gの加入者は従来の予想を上回る

 11の市場、1万2000人のコンシューマーに調査を行ったJasmeet Singh Sethi(ヤスミート・シン・セティ)氏(Ericssonコンシューマーラボ所長)は、世界の人々が新型コロナを受けてICTを使ってさまざまなことを行なっている実態を報告した。

Ericssonコンシューマーラボ所長 Jasmeet Singh Sethi氏

 新型コロナにより「10人中7人が日常生活に影響を受けている」と回答しているが、子供を持つ親の4人に3人が「子供の教育にデバイスとネットワークが役立っている」、10人中6人の高齢者が「ビデオ通話により孤独が和らいだ」と回答しているとのことだ。

 Sethi氏はまた、「87%のコンシューマーが家庭でのオンライン時間が増えたと述べている」とも。ゲームのほかにもSNS、映画など長編の動画ストリーミング、そしてビジネスでのやりとりとしてビデオ会議などがよく使われているという。一部では、遠隔医療もトラフィック増加に貢献しているとのことだ。「不安を抱えながら、家族や友人、会社と接続することで日常を継続している」とSethi氏はまとめる。

 このような人々の行動の変化は、ネットワークのオペレーションに大きなチャレンジを突きつけている。たとえば、アプリのダウンロードは下りのトラフィックだが、ビデオ会議は双方向サービスなので下りと上りで同等の品質が必要になる。「ネットワークは多様なトラフィックの種類に対処しなければならない」(Cerwell氏)。

 さらに一部のオペレーターは消費者に追加のデータバンドルを提供するところもある。「これまでにないことが短期間で起こっているが、概してネットワークは持ちこたえている」とCerwell氏は評価した。インドのコンシューマーの66%は「ネットワークのパフォーマンスは新型コロナ前と同等もしくはそれ以上」と回答しているそうだ。

 このように、新型コロナで仕事、学び、買い物、エンターテインメントなどが家庭で行なわれるようになったことが、あらためてモバイルネットワークの重要性を再認識させているという。「AIと自動化、AR/VR、エッジクラウドなどは5Gをより高速にする要因になる」とSethi氏。今回の新型コロナの後、特に「買い物」と「医療」は大きく進むのではないかとみており、ドローンによるデリバリーなどを組み合わせた”オートノマス・コマース”、遠隔医療などの”シンクロナス・ケア(同期型医療)”などのトレンドを予想した。

 冒頭の5G加入者数予想の上方修正は、このような変化を受けてのものだ。

 Ericssonは2019年11月に「2019年までに1300万人が5Gに加入する」との予想を打ち出していたが、この予想は当たり、2020年初めには「2020年末までに1億人」と予想していた。

 Cerwall氏によると、第1四半期に新型コロナの打撃を受けた中国で、5Gの加入者は引き続き増加しているという。残りの国々では、「外出禁止令により新しい5G端末を買うどころではなくなり、当初の予想よりも動きが鈍化した」ものの、年末には増加が見込まれるという。欧州の一部の国では5Gで使用する周波数帯のオークションが延期されるなどの影響もある。それでも、長期的にはEricssonが年初に出した予想よりも加入増加のペースは速まると予想した。

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