HP ENVY All-in-One 32には使い勝手を向上させる装備が充実している。まずディスプレー上部には「HP Wide Vision 5MP IR ポップアッププライバシーカメラ」(約200万画素)を搭載。飛び出した状態にしていれば顔を向けるだけでロックを解除でき、プライバシーが気になるときは収納しておける。ディスプレー一体型オールインワンPCと相性ぴったりの装備だ。
本体台座にはQi規格のワイヤレスチャージベースを用意。スマートフォンなどのQi対応デバイスを置くだけで充電できる。ただスペースに余裕があるので、できればふたつのQi対応デバイスの充電に対応してほしかったところだ。
最後に推したいのがワイヤレスマルチデバイスキーボード。前述の通り、本体以外に2台のスマートフォンやタブレットとBluetooth接続して、それらのキーボードとして利用できるのだ。デバイスを立てかけるための溝も用意されているので、いつでも接続先をスマートフォンなどに切り替えて長文メッセージを入力、送信可能。このワイヤレスマルチデバイスキーボードは打鍵感も良好。ぜひ単体販売してほしいと思う。
実測97.9%のDCI-P3カバー率
広色域は映像視聴に最適
HP ENVY All-in-One 32には、31.5インチ4K IPS液晶ディスプレー(3840×2160ドット、輝度600cd/平方m、DCI-P3カバー率98%、コントラスト比6000:1、HDR 600対応)が搭載されている。
色域をカラーキャリブレーション機器「i1Display Pro」と色度図作成ソフト「Color AC」で計測したところ、sRGBカバー率99.9%、AdobeRGBカバー率88.6%、DCI-P3カバー率97.9%と、ほぼスペックどおりの結果が出た。実際に画像や映像をチェックしてみても、鮮やかで階調豊かに映し出してくれる。HDR 600にも対応しており、映像コンテンツの視聴にも適したディスプレーと言えよう。
サウンドについては名門オーディオメーカー「Bang & Olufsen」と共同開発した2.1chサウンドシステムがディスプレー下部に内蔵されており、解像感豊かで、低音に迫力のあるサウンドを堪能できる。ディスプレー下部の特等席に、大きなスペースを活かしたスピーカーを内蔵していることもあり、ノートPCのそれとは雲泥の差だ。部屋中で音楽を楽しむためのオーディオコンポ代わりに利用できるサウンド品質を備えていると太鼓判を押せる。
速度計測結果
10コアCPU&RTX 2080 Superによる圧倒的パワー
試用機のHP ENVY All-in-One 32には、インテル第10世代(Comet Lake)のデスクトップPC向けCPU「Core i9-10900」(10コア20スレッド、2.80~5.20GHz)と、NVIDIAの「GeForce RTX 2080 SUPER with Max-Q Design」が搭載されている。
まずCPUベンチマークを実施したところ、「CINEBENCH R20」のCPUは4924 pts、CPU(Single Core)は504 pts、「CINEBENCH R15」のOpenGLは184.55 fps、CPUは2430 cb、CPU(Single Core)は218 cbという結果となった。ノートPCではあるが直近で最も高いパフォーマンスを発揮した「XPS 17」(Core i7-10750H&GeForce GTX 1650 Ti)が、CINEBENCH R20で3268 pts、CINEBENCH R15で1366 cbだったので、前者で約1.51倍、後者で約1.78倍のパフォーマンスを発揮したことになる。
またディスクリートGPUのパフォーマンスが威力を発揮するベンチマーク群でも、「3DMark」のTime Spyは7839、Port Royalは4463、Fire Strikeは17409、「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION BENCHMARK ver 1.2」のスコア(標準品質、3840×2160ドット、フルスクリーン時)は3767(普通)という結果を叩き出した。こちらもXPS 17と比較すると、Time Spyは3966だったので約1.98倍、Fire Strikeは9052だったので約1.92倍、FINAL FANTASY XVが1683だったので約2.24倍のスコアをHP ENVY All-in-One 32が記録したことになる。
もちろんXPS 17にはどこにでも持ち運べるというアドバンテージがある。しかし、据え置きで使うのならHP ENVY All-in-One 32を迷わず選ぶべきだ。
ストレージは順当な結果。「CrystalDiskMark 7.0.0」で計測したSSD(Cドライブ)のシーケンシャルリードは3090.69MB/s、シーケンシャルライトは3042.17MB/s、HDD(Dドライブ)のシーケンシャルリードは132.31MB/s、シーケンシャルライトは122.68MB/sとなった。今回の「32-a1091jp」のストレージは、SSD1TB、HDD2TBという余裕のある構成なので、アプリと作業中のファイルはSSDに記録し、HDDはバックアップ的に使うのがお勧めだ。
圧倒的なパフォーマンスと実用性
そのうえでの見事なデザインが魅力
今回の試用機は、「Core i9-10900」、「GeForce RTX 2080 SUPER with Max-Q Design」、31.5型4K IPS液晶ディスプレー、そして使い勝手を重視したインターフェース配置と、ディスプレー一体型オールインワンPCとして理想の仕上がりだ。ACアダプターが大きいことに不満を述べたが、パフォーマンスやメンテナンス性を考えれば十分納得できる。
アップルが近々発表すると噂されている新型iMacが気になっている方も多いだろうが、圧倒的なパフォーマンスと、あくまでも実用性を満たした上でのデザインを重視するなら、いますぐHP ENVY All-in-One 32を購入しても後悔はないはずだ