佐々木喜洋のポータブルオーディオトレンド

着々と開発が進む、アップルの空間オーディオとSR技術 (1/2)

文●佐々木喜洋 編集●ASCII

2020年09月22日 13時00分

前へ 1 2 次へ

 先週アップルの新製品イベントが、オンラインで開催された。

 新型iPadなどが発表されるとともに、翌日からiOS 14のダウンロード提供も開始した。また、AirPods/AirPods Proのファームウェアアップデートも実施され、多くの人がアップルの空間オーディオ(Spatial Audio)を楽しんでいることだろう。

 これに関連して、先週は海外メディアのApple InsiderとPatently Appleがアップルが空間オーディオ向けのファイルフォーマットに関する特許出願を行ったと報じた。これらの記事からそれがどういうものかをレポートしたいと思う。

 両方ともに同じ特許について述べているのだが、それは米国特許20200288258号(FILE FORMAT FOR SPATIAL AUDIO)である。

3Dオーディオ用のファイルフォーマットをアップルが開発?

 要約するとSRアプリケーションのための3Dオーディオ情報をメタデータとして加えたファイルフォーマットに関する特許ということになる。ここでSRという言葉が出てきているが、これはアップルの用語でVR/AR/MRを総称したSR(模擬現実 - Simulated Reality)を意味する言葉で、たまに日本のメディアにも登場するSR(代替現実 - Substituted Reality)ではない。

 ここでアップルはそのフォーマットはどのようにオーディオデータがエンコードされたかだけではなく、SR環境のリスナーがどのように体験するかについても情報付加されていると強調している。

 ここでもうひとつ明確にしておくと、アップルの空間オーディオはいまのところ特別なファイルフォーマットを必要とはしていない。標準的なドルビーアトモスなどのサラウンド音源から、アップル独自のデジタル処理/センサー情報によって、2chのスピーカーやイヤホンで再現可能な立体感を加えた音像を作るものだ。

前へ 1 2 次へ

mobileASCII.jp TOPページへ