次期大統領も路線を踏襲するのだろうか
中国アプリ禁止の動きは、インドに続くものだ。インドではTikTokやWeChatなど、段階的ながら200以上のアプリを禁止している。また、ニューヨーク証券取引所(NYSE)の中国の3大通信キャリア(China Telecom、China Unicom、China Mobile)の上場廃止も、一旦は撤回されたものの結局は廃止の方向に進んでいる。
そしてAlipayを展開するAntの親会社Alibabaに対しては、中国政府が独占行為の疑いがあるとして調査すると報じられている。
ところで中国製製品は本当に不正にユーザーの情報を取得して中国政府に提供しているのか? 現時点で証拠と言えるものを米政府が提示したことは報道されていないと思う。そんな折、朝日新聞が1月11日付けで、TikTokが収集する情報について独自に行った調査の結果をレポートしている。
米政府がTikTokを禁じる大統領令を出す前と出した後の2つのバージョンについて、専門家に依頼して調べたところ、2バージョンとも個人情報は取得していないが、古いバージョンについてはIMEIやMACアドレスを収集していたとのこと。IMEIについてはプログラムは実行されていなかったとのこと。最新版についてはIMEIやMACアドレスを収集するプログラムはなかったと報告している(https://www.asahi.com/articles/ASP1B7W8VP1BULZU007.html?iref=comtop_Tech_science_01)。
中国企業に強硬な姿勢をとってきたトランプ大統領の任期は間もなく終了する。次期大統領となるバイデン氏は、この路線を踏襲するのか。Alipayなどを禁じる今回の大統領令はバイデン氏の就任後に有効となる。まずはそこに注目だ。
筆者紹介──末岡洋子
フリーランスライター。アットマーク・アイティの記者を経てフリーに。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている