グーグル予想外「Pixel祭り」になった開発者会議、市場でのファーウェイの穴埋めか? (2/2)

文●石川 温 編集●飯島恵里子

2022年05月12日 12時20分

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グーグルがタブレットに注力するのはファーウェイのせい?

 もうひとつ、グーグルがタブレットに注力せざるを得なくなったのは、ファーウェイのせいではないか。

 トランプ政権による禁輸措置により、ファーウェイはAndroidを採用できず、スマートフォンやタブレット、さらにはスマートウォッチで独自のOSに切り替えざるを得なくなった。

 スマートフォンにおいて、アップルやサムスン電子の座を脅かす存在にまでなったファーウェイがAndroidを使えなくなるということは、それだけ世界において、Androidのユーザーが減ってしまうことになる。

 当然、Android端末からの検索で儲けているグーグルにとっては死活問題だ。とはいえ、ファーウェイに変わるメーカーと言えば、OPPOやシャオミの名前が挙がるが、いまのところファーウェイほどの存在感にはなっていない。

 Apple Watchに対抗しようと、グーグルではスマートウォッチ向けOSとしてWear OSをサムスン電子とともに展開しているが、Wear OSを採用するスマートウォッチのヒット商品がなかなか出ていない。

 かつて、ファーウェイはAndroidベースのスマートウォッチにも積極的であったが、禁輸措置によって、自社開発のHarmonyOSに切り替えてしまった。

 

 グーグルとしてはファーウェイに代わるスマートウォッチメーカーが欲しいところだが、LGエレクトロニクスもスマートフォンから撤退するなど、サムスン電子以外に頼れるメーカーがいない。そこで、グーグルとしては重い腰を上げて自社で「Pixel Watch」を今年の秋に発売することにしたのではないか。

 アップルはiPhoneを中心にiPad、Apple Watch、さらにはMacBookなど、OSとハードウェアを一緒に手がける垂直統合モデルで、独自の世界観を確立している。ユーザーはApple IDですべてのデバイスが連携する「利便性」から抜け出せなくなっている。

 グーグルとしては水平分離で様々なメーカーとコラボすることで、Androidの世界を広げてきた。しかし、様々なデバイスにおける「統一感」という点においてはアップルの後塵を拝していた。グーグルはスマートフォンのPixelシリーズを中心にタブレットとスマートウォッチも手がけることで、Pixelワールドを広げたいのだろう。

 ひょっとすると、ファーウェイが抜けた穴はグーグル自身が埋めてくるのかも知れない。

 

筆者紹介――石川 温

 スマホ/ケータイジャーナリスト。「日経TRENDY」の編集記者を経て、2003年にジャーナリストとして独立。ケータイ業界の動向を報じる記事を雑誌、ウェブなどに発表。『仕事の能率を上げる最強最速のスマホ&パソコン活用術』(朝日新聞)、『未来IT図解 これからの5Gビジネス』(MdN)など、著書多数。

 

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