まるで「プロのカメラバッグ」のような7本のレンズ
iPhoneの写真の美しさには定評があるが、Proモデルのカメラは今回さらにグレードが上がった。
iPhone 15 Pro Maxの5倍ズームに注目が集まるが、全体の性能を大きくグレードアップしているのは、F1.78の絞り値を持つ4800万画素のメインのセンサーだ。このセンサーの使い方によって、iPhone 15 Proシリーズのカメラは実にいろいろな性能を実現している。
4800万画素をフルに使った画像を撮るためには、ProRAWを設定する必要があるが、ProRAWで撮影すると通常の40倍近いファイルサイズになるので、ストレージを非常に激しく消費する。通常時は1200万画素か、2400万画素のHEIFもしくはJPEGで保存して、ストレージの消費を抑える設定になっている。
では、このセンサーの性能は発揮する機会が少ないのかというと、そうではない。
まず、4つのピクセルを、受光量の多いピクセルとして使うことで暗所での感度をさらに向上させている。また、センサーの中央の一部だけを使うことで、24mmの画角だけでなく、28mm、35mm、48mmという4種類のレンズを備えたセンサーのように振る舞うのだ。昨年のiPhone 14 Proシリーズの際は24mmと48mm、つまり1倍と2倍の領域をカバーするセンサーだったのに、28mm(1.2倍)、35mm(1.5倍)の単焦点レンズとして、デジタルズームを使わずに光学的に利用できるようになるのだ。
これによりアップルの言うように、3つの物理的なレンズを用いることで、合計7本のレンズを持っているのと同じように活用できるようになったのだ。
ちなみに、メインの4800万画素センサーはスペックを詳細に見ると2.44μmピッチと、iPhone 14 Proシリーズのものと同じスペックだが、さまざまな機能が追加されており別モノとのこと。また、センサーシフト式の手ブレ補正も第2世代に進化しており、28mm、35mmなどの画角が使えるようになったことも含め、大きく性能が向上していると見た方が良さそうだ。
120mm相当のレンズの性能やいかに?
話題の5倍ズーム、120mm相当のレンズは、テトラプリズムという仕組みを使って屈折させることで、薄いスマートフォンの中で焦点深度を稼いでいる。
この薄いスマートフォンの中に120mmレンズが入っているというのは驚きで、撮影できる写真の可能性は大きく広がる。
ただ、実際に使ってみると、平らなスマートフォンのレンズを素早く正しく対象物に向けるのはなかなか難しい。画角も狭いからだ。
120mmの5倍レンズは、F2.8となかなか明るいのだが、十分な光量のようだ。実際、室内や、夕暮れに撮った「5倍ズーム」の写真は、自動的に切り替えられた4800万画素のメインセンサーのデジタルズームで撮影されていた。120mmのレンズで暗いと判断されたら自動的に切り替わってしまうのだろう。
120mm5倍レンズを使おうとしたら、明るい場所で、しっかりと固定して使う必要がありそうだ。