ゲーミングスマートフォンといえばASUSの「ROG Phone」、nubiaの「REDMAGIC」が日本でも販売されています。しかし、少し前まではBlack Sharkブランドのスマートフォンも販売されていました。残念ながら現在はスマートフォンの新製品はなく、ゲーミングアクセサリーのみの販売です。Amazon.co.jpでもそれらの製品は一部購入可能で、XでもBlack Shark Japanのアカウントは現在も運営されています。
Black Sharkはシャオミの出資を受け、ハイスペックなゲーミングスマートフォンに特化したメーカーとして、2018年から毎年スマートフォンを展開していました。クアルコムのSnapdragonチップセットの最新モデルを積極的に採用し、冷却機構を高めたボディーに本体側面のゲーム用ボタン(トリガー)を搭載するなどして、ゲーミングユーザーのための製品を送り続けていたのです。2021年にはガンダムとコラボした「Black Shark 4S Gundam Edition」を中国でリリースするなど、話題の製品もありました。
現時点でBlack Shark最後のスマートフォンとなるのは、2022年2月に発表された「Black Shark 5」シリーズで、日本でも「Black Shark 5」「Black Shark 5 Pro」の2機種がリリースされました。ちなみにBlack Shark 5 ProのスペックはチップセットがSnapdragon 8 Gen 1、4650mAhバッテリーは120W充電に対応、6.67型(2400×1080ドット)、144Hzディスプレー、カメラは1億800万画素+1300万画素超広角+500万画素マクロとなかなかのものでした。
Black Sharkのスマートフォンはこれ以降発売されていません。中国では一時期シャオミの公式ページでも製品案内と販売がされていましたが、シャオミからゲーム利用を意識したRedmiのKシリーズやPOCOの上位モデルが出るようになり、Black Sharkはシャオミから独立。しかし、ゲーミングスマートフォン市場がニッチであるうえに、競業が数社あるとなると、毎年のように新機種を出していくのは難いものです。そのためこの2年間、スマートフォン新製品を見ることはできなくなってしまいました。なお、一部の国では現在もBlack Shark 5シリーズを販売しているようです。
現在の製品展開はワイヤレスイヤホン(TWS)、ゲームパッド、スマートフォン用クーラー、スマートウォッチといった、ゲーミングギアとなっています。このうちスマートウォッチは3月に新製品「Black Shark GT3」を発売。Black Sharkは現在も新製品の開発を続けています。
このBlack Shark GT3は、湾曲した1.96型大型ディスプレーを搭載し、GPTアプリ「Shark GPT」により音声アシスト機能が利用できます。現時点では日本では販売されておらず、Shark GPTも英語と中国語しか利用できないようですが、日本語対応のうえ日本でも販売してほしいもの。
日本でも買える製品として「Black Shark 磁気式 スマホ散熱器」(Black Shark MagCooler 3 Pro)はMagSafeでiPhoneの背面に取り付けできるクーラーとして有用です。ペルチェ素子を使うので冷却性能は非常に高く、Shark Arsenalアプリを使えばファンの状態管理やRGBライトの設定もできます。
欲を言えば再びBlack Sharkブランドのスマートフォンを出してほしいところですが、ちょっと難しいかもしれません。「Black Sharkのアクセサリーはカッコいい」と思えるような、ほかにはないデザインと性能に優れたゲーミングギアを出し続けてほしいものです。
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