アップルがRCSに対応すると聞いて
Googleメッセージを標準搭載するというKDDIの「荒技」
KDDIがこのタイミングでGoogleメッセージを載せてきた背景にあるのは、アップルの「iMessage」が2024年中にRCSに対応するというのが大きそうだ。
これまでアップルのiMessageとRCSには互換性がなかった。RCSにiMessageに送ろうとしても、テキストしか送れないなど、ユーザーの思うとおりにはいかなかったのだ。
しかし、アップルは欧州連合(EU)が異なるメッセージアプリの相互運用を義務付けた「デジタル市場法(DMA)」などの影響もあってか、2023年11月に「2024年後半にRCSに対応する」と声明を発表したのだ。
アップルのiMessageがRCSに対応すれば、iPhoneユーザーとAndroidユーザー同士で、写真や映像を自由に無料で送り合える環境が実現する。
もはや「AndroidだとiMessageが使えず、友達から仲間はずれにされるから、高くてもiPhoneを購入する」ということをしなくても良くなるのだ。
アップルがRCSに対応すると聞いて、日本の+メッセージもRCSベースからRCS対応にアップデートするかと思いきや、その前にKDDIはRCSに対応したGoogleメッセージを標準搭載するという「荒技」をかましてきたのだ。
そもそも、+メッセージはKDDIがやる気になってNTTドコモ、ソフトバンクを口説き落として製品化にこぎ着けたとも言われている。
そんなKDDIがまさか+メッセージからGoogleメッセージに標準アプリを鞍替えするとは他の2社も予想外であったろう。
iPhoneとRCSでのメッセージのやりとりができるとなれば、Androidユーザーの間で、Googleメッセージを使う人が増えるだろう。実際、現在でもNTTドコモやKDDI、ソフトバンクのユーザーでもGoogleメッセージの利用は可能だ(同じRCSアプリを利用しているユーザー同士しかSMS以外のサービス機能は利用できない)。
今後、アップルが正式対応し、iMessageとGoogleメッセージがRCSで送受信できるようになれば、これまで国内4000万ユーザーまで拡大した+メッセージの行く末はどうなってしまうのか。
日本で最も浸透しているメッセージサービスである「LINE」は個人情報の漏洩問題もあり、総務省から韓国・NAVER社との資本関係を見直せといった行政指導が出ている。
日本で最もユーザーの多いメッセージサービスが揺れる中、新たなメッセージサービスが日本で普及する可能性はあるのか。
iMessageとGoogleメッセージのRCS接続は、日本におけるメッセージサービスの地殻変動を起こすかも知れない。