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「Zenfone 11 Ultra」日本導入! 小型プレミアム路線からの転向も、大画面でゲームもカメラもパワーアップ! (2/2)

文●佐野正弘 編集●末岡大祐

2024年07月03日 11時00分

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ROG Phone譲りの高性能にAI機能も充実した

 性能面もROG Phone 8とかなり近しい。チップセットにはクアルコムの「Snapdragon 8 Gen 3」を搭載しており、メモリーとストレージはモデルによって12GB/256GB、または16GB/512GBの2つの構成となっている。

 最新のゲーミングスマートフォンと同じ最い高性能を備えているだけあって、ゲーミング用途での満足感はかなり高い。どれくらい性能が高いかというと、システムモードが「高性能」(ハイパフォーマンスモード)にすれば、従来Androidではハイエンドモデルでも「中」に留まっていた「原神」のデフォルトのグラフィック設定が「高」になるくらいだ。

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画像は「Geekbench 6」のCPUベンチマーク結果。システムモードが「高」の場合のベンチマーク結果となる(以下同様)

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「3DMark」(Wild Life Extreme)のベンチマーク結果

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「PUBG MOBILE」のグラフィック設定はクオリティーが「ウルトラHDR」、フレーム設定が「ウルトラ」までと、Androidの最高水準での設定が可能

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「原神」のグラフィック設定はデフォルトで「高」。数あるAndroidスマートフォンの中で最高クラスといっていい

 もちろんROG Phoneシリーズ譲りの「Game Genie」が備わっていることから、ゲーミング時の細かな調整や設定も可能。フロントカメラのパンチホール部分を隠す機能がないなどROG Phone 8シリーズとはいくつかの違いがあるとはいえ、ゲーミングにもかなり適していることがわかる。

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ROG Phoneシリーズ譲りの「Game Genie」も使用可能。大画面化と合わせてゲーミングはかなり快適になったといえる

 ただ一方で、本体に急速冷却用のヒートシンクが備わっていないほか、構造上「AeroActive Cooler X」にも対応していない。あくまでゲーミング以外の要素にも重きを置く人に向けたモデルであることから、本体冷却の面ではROG Phone 8に譲るようだ。

 バッテリーも5500mAhで、65Wの急速充電とQiによるワイヤレス充電に対応することから、こちらもROG Phone 8と共通している。また、FeliCa(おサイフケータイ)やIP68の防水・防塵性能など、いわゆる“日本仕様”に対応する点も従来と共通している。

 ほかにもアプリケーション面で注目されるのが、昨今話題のAIを活用した機能だ。Zenfone 11 UltraにもオンデバイスでのAI処理を活用した機能がいくつか備わっており、AI壁紙作成機能やAI画像検索機能、そしてβ版ではあるがAI文字起こしに対応したボイスレコーダーや、AIによる通話翻訳の機能も提供される。

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オンデバイスでのAI技術を活用した機能もいくつか搭載されており、AIによる通話翻訳機能も備わっている

 通話翻訳はサムスン電子の「Galaxy」シリーズでも提供されているが、Zenfone 11 Ultraの場合日本語のほか、英語や中国語など8つの言語に対応している。実際に試してみた印象だが、環境が整った場所でゆっくり話せば比較的正しく翻訳してくれるものの、肝心な部分が誤変換されてしまい、意味が伝わらないのでは? と感じるケースもいくつか見られた。β版ということもあるので、今後の改善や進化にも期待したい。

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実際に日本語で通話し、英語に翻訳してみたところ。おおむね正しく文字に変換し、翻訳もできているのだが、「食事」を「職人」に変換してしまうなど重要な部分に誤りが生じやすい印象もある

 最後に通信に関してだが、SIMはやはりROG Phone 8の仕様を引き継いでいるため物理SIM(nanoSIM)×2のデュアルSIM機構で、eSIMに対応していないのはやや惜しい。ただし周波数帯は、5Gのバンドn79にも対応することから、ドコモのネットワークでも安心して使えるだろう。

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SIMトレイは前面と背面に2枚のnanoSIMを挿入できるタイプ。eSIMには対応していない

【まとめ】リーズナブルなハイエンドとなったが
個性も弱くなった

 Zenfone 11 Ultraは非常に高い性能を備えたハイエンドモデルながら、ROG Phone 8との共通化を図ることなどによってコストを引き下げ、最も安いメモリー12GBのモデルで13万9800円からと、このクラスのスマートフォンとしてはかなりの安価を実現している。円安による値上げが続く中にあって、大画面のハイエンドモデルを安く買いたい人にはとてもよい選択肢となるだろう。

 ただ、ROG Phone 8とのハードウェア共通化によって、コンパクトなサイズ感と6軸ジンバルモジュールでアクションカメラとして活用できるという、Zenfone 10までの特色と強い個性が失われてしまったのも確かである。スマートフォン市場が非常に厳しい中にあって、より多くの顧客を獲得するうえではやむを得ない選択だったのだろうが、コンパクトボディーが新たなZenfoneらしさを確立していただけに、そのコンセプトを継続できなかったことはやはり残念でもある。

ASUS「Zenfone 11 Ultra」の主なスペック
ディスプレー 6.78型有機EL LTPO
1~120Hz、最大144Hz対応
画面解像度 2400×1080ドット
サイズ 約76.8×163.8×8.9mm
重量 約225g
CPU Snapdragon 8 Gen 3
メモリー 12/16GB
ストレージ 256/512GB
外部ストレージ ――
対応バンド 5G NR:n1/2/3/5/7/8/12/18/20/25/26/28
/38/40/41/48/66/77/78/79
LTE:1/2/3/4/5/7/8/12/17/18/19
/20/25/26/28/32/34/38/
39/40/41/42/43/48/66
W-CDMA:1/2/4/5/6/8/19
4バンドGSM
無線LAN Wi-Fi 7
カメラ画素数 約50メガ(標準、F1.9)
+約13メガ(超広角、F2.2)
+約32メガ(望遠、F2.4)
イン:約32メガ(F2.05)
バッテリー容量 5500mAh(65W対応)
Qi
防水/防塵 ○/○(IP68)
生体認証 ○(画面内指紋)
USB端子 Type-C
イヤホン端子
カラバリ エターナルブラック、スカイラインブルー、ミスティーグレー、デザートサンド
(16GB+512GBモデルはエターナルブラックとスカイラインブルーのみ)
価格 16/512GB:15万9800円、12/256GB:13万9800円
 

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