いかにコストを下げ、別のところで個性を出すか
ただ、取材をしてみると「ユーザーがYouTubeやSNSなど動画を多く見るというニーズがある一方、部材を調達する上で世界的に数多く流通しているインチ数のほうが安価に手に入りやすいという事情もある」(シャープ関係者)という。
世界的に5.7インチというコンパクトな画面サイズは需要が減ってくる中、結果として、部材の流通量も減り、価格が高騰する傾向がある。
世界的に需要のないインチ数を採用し続けるよりも、数多くのメーカーが採用し、大量生産でコストが安価となる6.6インチをあえて選んでものづくりをしたほうが、結果として安価に製造できるようになるというわけだ。
もちろん、他社と同じインチ数を採用すれば、それだけでの差別化は難しくなる。しかし、AQUOS wish4の場合は「つよかわ」というコンセプトにより、耐久性と長持ちバッテリー、使いやすさを追求することで、他社との差別化を図っていくようだ。
ソニーのXperia 1 VIも4K、21:9という独特なディスプレイはなく、他社でも採用されている汎用性のある部材に切り替えることで、コストの削減につなげている。
日本メーカーとしては割引規制、さらには円安基調という逆風もあり、ここ最近は「いかに汎用品を使ってコストを下げつつ、別のところで個性を出すか」で生き残りをかけているようだ。