グーグルが「Pixel 9シリーズ」を中心とした自社デバイスを発表する「Made by Google」イベント取材のため、米マウンテンビューにあるグーグル本社を訪問した。
一般的にメーカーは、「発表まで製品を隠す」もの。リーク情報はあまり好ましいものではない。だがグーグルは、Pixelに関して発表のずいぶん前からデザインを「チラ見せ」するようになっている。特に今回はそうだ。
バズが重要な時代となり、製品の情報が拡散することは販売戦略上重要な要素に変わっている。それを考えると、こうした流れも理解できるものだ。
ただ、グーグルが「デザインを先に見せてもいい」と判断したのは、単にバズ重視だからではないようにも思う。
彼らが考える「スマートフォンの劇的な変化」が、ハードのスペックではなく「サービスやAIとの連携」で生まれるようになっているからではないだろうか。
実際、今回発表会では「AIとソフト」の力がアピールされた。それは確かにパラダイムシフトを予感させるものだったが、同時に視界の不透明さを感じさせる部分もあった。
AIでスマホのパラダイムシフトを
グーグルでPlatforms & Devicesチームを統括するシニア・バイスプレジデントのリック・オステルロー氏は、現在のAndroidに起きている変化を「大きなパラダイムシフトの只中」と説明する。
パラダイムシフトの中心にあるのは、もちろんAIだ。
グーグルは現在、同社のAIであるGeminiを軸に、Androidを再構築する過程にある。それはPixelシリーズ向けだけの話ではない。あらゆるAndroidデバイス向けに計画は進行中で、今回Pixel向けとして公開されたGeminiを使う新機能は、基本的に過去のPixelにも、他のAndroidスマホにも提供される。
全ての機能ではないが、クラウドでの処理が中心となるもの(例えば、後述する「Gemini Live」など)については、iOS版アプリにも展開されるという。Geminiはグーグルのコアサービスであり、できるだけ幅広く提供する考え方なのだが、Androidについてはさらに統合を進める。
その中でも、プロセッサーを含むハードウエアからソフトウエア、サービスまで、グーグルとしてのパッケージを示す存在がPixel、ということになるのだろう。