継続は力なりを地で行くチーム
ドコモは常に寄り添ってくれた
30年以上という長きにわたってドコモとのパートナーシップを築いているが、不景気にも負けずに途切れなかった理由はなんだろうか。
村岡 不景気だけじゃなく、我々の成績次第でも予算が増えたり減ったりします。企業側だって大変です。バブル崩壊やリーマンショックでたくさんの潰れた会社を見てきました。スポーツへの投資というのは真っ先に打ち切られます。しかし、我々が辞めずにずっとやってきたのが大きいと思います。辞めるのは簡単ですが、辞めたあとに再開するのは非常に難しい。ドコモさんに続けてもらえているのは、「継続は力なり」だからだと思います。
島﨑 もう30年以上も繋いできたバトンですからね。その間、通信も2Gから3G、4G、5Gときて、6Gも見えてきています。今まで途切れずにバトンを受け継いできたのは、その当時の担当ごとに「継続させたい理由」があったんだと思います。
30年は非常に長い歴史。その中で悲喜こもごもがあったに違いない。
村岡 良いとき、良くないときって必ずありますので、とくに良くないときはどうやって乗り切るかですよね。レースを始めたばかりの頃はレイズ(ポーカーにおける掛け金を上げていくこと)することばかり考えてましたが、規模が大きくなってくると経営者にならないといけない。人も増えて部門に分けて、みたいな。バックギアに入れてるヒマはありません。こうやってテストに来るのも、来年、そしてその先を見越しているわけなので。
村岡氏によると、チームがいい雰囲気のときは勝てる予感があるという。ドコモの人たちが見に来てくれて、良さげですね! と言ってくれるときは決まって勝つという。2024年の最終戦もそうだったようだ。ただ最近は全体的にレースがレベルアップしていて、1勝するだけでも大変とのこと。
島﨑 ドコモ側でも旧プロモーション部をまとめて、実証実験にも宣伝部隊が関わっていなかったので宣伝部もまとめて、今の応援態勢が整ったのです。自動車電話から始まり、ケータイときて、iモードで画像データも飛ばしました。そして5GのハンドオーバーやIOWNの実験もしています。長いことやってると我々もできることが増えてくるんです。
「だから継続は力なり、なんだよ」と村岡氏は笑う。GPSの精度も上がっており、今、クルマがサーキットのどのあたりを走っているか、誤差10cm程度でほぼ正確にわかるようになったとのこと。
島﨑 もちろん全部の実験がフィードバックされているわけではないのですが、一般のみなさまがスマホを快適に使ううえで、かなり貢献しているのがわかっていただけるかと思います。
これからもダンディライアン×ドコモは一緒に戦っていく
島﨑 私たちがうれしいのは、村岡さんもドライバーさんもインタビューのときに、最初に「スポンサーさん、ありがとう」って言ってくれるんですよ。それをドコモの社員が見て「やっぱり応援してきて良かった」というキモチになるんです。だからってわけでもないのですが、応援しがいのあるチームなんですよ。
スポンサー側であるドコモとしては、そういった部分も継続のモチベーションになっているという。チームグッズである赤いTシャツを着ているファンも増え、最終戦ではスタンドで真っ赤になっているエリアがあって、感動したとか。島﨑さんもグリッドなどでファンから声をかけられるようになったようだ。
島﨑 実はこのチームに関わるまではモータースポーツはあまり知らなかったんです。でも現場(サーキット)に来てみると、そのスゴさに圧倒されて。ガソリン垂れ流しとかCO2排出量がとか言われますけど、今はモータースポーツもカーボンニュートラルにこだわってたりバイオ燃料を採用したりしてますよね。元々実証実験がベースになっているワケですが、SFじゃないとできないようなことを、我々はやっていきたいですね。
モータースポーツはもっと広くその活動内容を知られるべき! と島﨑さんは熱く語った。
村岡 スーパーフォーミュラも2024年は観客動員が増えたってニュースになったくらいですからね。レース自体も面白いので、直接見たら絶対ハマると思うんですよ。ただ、この上り調子がいつまで続くのかはわかりません。たとえば、さっき話に出たJTCCは始まった頃、すごい人気だったんですよ。それがあっという間にダメになった。この機会に、何度も見に来たくなるレースをしないといけません。
村岡氏はかなり冷静にSF人気を見ているようだ。チームとスポンサー、その両輪がないと走り続けられないという。ドコモ側ではまだ内容は未定だがショーケースも考えているという。
島﨑 サーキットは日本全国にありますし、各地域の社員が応援にいけるようなエンゲージメントも必要だと思っています。実は社内でもこの活動を知っている人が少ないので……。
村岡氏も島﨑氏もまだまだ続ける気は満々だ。これからもモータースポーツとモバイルで、我々を楽しませてくれそうである。それでは、最後に牧野選手から2024シーズンの振り返りと、スーパーフォーミュラの魅力を教えてもらって終わりにしたい。
牧野 いろんな方から「今年はいいシーズンだったね」って言われるんですけど、ドライバーチャンピオンを逃したのがそれ以上に悔しかったですね。この悔しさを2025年の力にしていきたいですし、個人的には大きく成長できたシーズンだったかなと思います。
牧野 まず我々のチームはドコモさんのカラーリングで走っているので、親近感を覚えていただけるんじゃないでしょうか。「ドコモ」の名前を知らない人はいないと思うので。そんな知ってるロゴが貼ってあるクルマが非日常的なスピードで走って、さらにその速度域で抜いた抜かれたのバトルをしています。レースもアプリで状況を把握しやすくなったし、ファミリー向けのアクティビティも多いので、ぜひとも現地に見に来て迫力を体感してもらえればと思います。
今年はKDDIもSFに参戦することが決まっている(KDDIが電撃参戦! 2025年はドコモとKDDI、モバイルの両巨頭がスーパーフォーミュラで最速を競う!)。回線速度もレースもどっちが速いのか、現地で見届けよう!