2月28日に発売されるiPhone 16e。iPhone 16とはノッチ部分やカメラの数など、わかりやすい部分でも差があるが、ネット上で話題になっているのが4Gで1.5GHz帯がサポートされなくなったという点。どういう意味を持つのかあらためて見ていこう。
たくさんの周波数帯を組み合わせて構築されている携帯のネットワーク
ドコモ/KDDI/ソフトバンク/楽天モバイルと、MNO(Mobile Network Operator)と呼ばれる携帯キャリアは、複数の周波数帯で電波を発射してネットワークを構成している。
特に4Gは歴史的な経緯もあり、700MHz帯、800MHz帯、900MHz帯、1.5GHz帯……と、とにかくたくさんの周波数で細切れで各社に割当されており、それを束ねることで高速通信を実現している。
海外メーカー製のスマホでは
ほぼ日本でしか使われない周波数帯はサポートされないことも
一方でスマートフォン側は、こうした異なる特性を持つ多数の周波数帯に1台で対応する必要があるのだが限界もある。特にほぼ日本限定で使われる周波数帯については、一部対応が省かれるケースが見られる。5Gにおけるドコモの4.5GHz帯がその代表格。海外メーカーの場合は、対応しない製品の方が一般的な印象だ(もちろんサムスンGalaxyのようにしっかり対応して、ドコモから販売されている製品もある)。
4Gでの1.5GHz帯もほぼ日本限定で使われている周波数帯の1つ(ドコモはバンド21、KDDI/ソフトバンクはバンド11)。やはり海外メーカーを中心に対応していない製品はこれまでも少なくなかった。iPhone 16eもその1つになったというわけだ。
余談になるが、ドコモやKDDIが用いる800MHz帯も基本は国内限定のバンドではある。それでも海外メーカー製を含めて、国内で売られる大半のスマホが対応しているのは、電波が飛びやすく建物の中や人口過疎地域も含めて広くカバーするのに有利な800MHz帯を両社は積極的に活用しており、対応しないスマホを日本で販売するのはやや難があるためだ。
ドコモは1.5GHz帯で案外多くトラフィックを流している
iPhone 16eでの非対応は少なくともプラスとは言いがたい
では、4Gの1.5GHz帯が非サポートであることは問題なのか、そうではないのか。これはキャリアごとに若干の違いが発生しそうだ。下のグラフは総務省の調査結果で、2022年度における1.5GHz帯の月間総トラフィックの数字。ドコモは1.5GHz帯を積極的に活用していることがわかる。
これだけではトラフィック全体でどのくらいの割合を占めているかわからないので、周波数帯ごとの数字をまとめたのが下の表(5Gを含む)。1.5GHz帯は案外多いんだなと感じられる。
(単位 TB) | ドコモ | KDDI | SB | 楽天 |
---|---|---|---|---|
700MHz | 42482 | 44576 | 10445 | ―― |
800MHz | 126519 | 98170 | ―― | ―― |
900MHz | ―― | ―― | 109835 | ―― |
1.5GHz | 120354 | 21603 | 31384 | ―― |
1.7GHz | 140962 | NO DATA | 86618 | NO DATA |
2GHz | 221788 | 231022 | 211529 | ―― |
2.5GHz | ―― | 158290(UQ) | 303151(WCP) | ―― |
3.5GHz | 79840 | 40014 | 199113 | ―― |
3.7GHz | 53331 | 49132 | 43826 | 6602 |
4.5GHz | 74159 | ―― | ―― | ―― |
28GHz | 37 | 133 | 16 | 39 |
もっとも実際のところ、1.5GHz帯をサポートしなくなったことが、ユーザーレベルでデータ通信の快適さにどの程度の影響を及ぼすのかはハッキリとわからない(これが原因で圏外になることはまずないとは思うが)。ただ、ドコモにとっては、プラスになるとは考えにくいiPhone 16eでの仕様変更とは言えるだろう。