安倍~菅政権時代に政府主導による携帯電話料金の値下げとMNPの推進などが実施され、その方向性は今も変わっていない。そんな中、総務省によってゲゲゲの鬼太郎のキャラクターを用いて、料金プランの見直しを勧める「ゲゲゲの携帯料金」なるサイトが公開された。
このサイトを参考にすれば、一般のユーザーがプラン見直しやMNPがラクにできるのかどうか考えた。
3月31日までの期間限定サイト、クイズもあるよ!
「ゲゲゲの携帯料金」は今年1月10日に開始し、3月31日までの期間限定のウェブサイトで、開設した総務省によれば「携帯電話の料金プラン見直しのポイントや携帯電話会社の乗換え手続きのワンストップ化等を分かりやすく紹介する特設サイト」と説明している(https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01kiban03_02000970.html)。
ただ、筆者は開設時のニュースを見逃していた。初めてそのサイトを認識したのは、他のウェブサイトを見ていたときに広告が表示されたため。「料金プラン見直し力テスト」とあり、携帯電話料金や格安SIMを追っかけている筆者としては、チャレンジしなければならないと思ったのだ。
テストは全6問で、MNPやプラン見直しに関するクイズ。今のケータイ料金や料金システムをある程度理解しているのなら、解答できる基本的な問題だ。クイズをするというよりも総務省の言う「MNPしやすいアピール」をなぞっているという感じを受けた。
もちろん筆者も全問正解だったが、なにか違和感が残る。
MNP簡単アピールにおける違和感の正体は
マイページへのログインを前提にしている点
件の問題と解答では、MNPワンストップで簡単に乗り換えができたり、料金プランが簡単に確認できるような内容になっているが、そこにどうしても違和感がある。それは、このサイトで言うところの各社の「マイページ」(My docomoやMy auなど)へのログインをすることで、初めて可能になるためだ。
そして、一般のユーザーにとっては、この「マイページにログイン」こそが、実は最大のハードルなのではないかと思う。
ケータイマニアやポイ活好きなどを除けば、携帯各社のマイページのIDやパスワードがすぐ出てくる人は多分ほとんどいないだろう。しかも、今はパスキーによる認証も必須になるなど、いつも使っている人には便利だが、たまに使う人にはログインのハードルが高い世界になってしまっている。
MNPワンストップの説明も微妙だ。確かに1ヵ所(新たに契約する携帯電話会社のサイト)ですべてMNPの手続きが済むようになっているが、実際の操作の中では、ウェブページの遷移のなかで、新たに契約する会社だけでなく、それまでの会社に対してもログインしなければならず、当然その際はIDとパスワードが求められる。
ログインのハードルという点では、ワンストップになってないのが現実だからだ。
2つの会社の別々に問い合わせ、片方で発行したコードを控えてもう片方に入力するという手間がないのは、確かに“ワンストップ”ではある。ただし、乗り換え先の手続きだけで完結する、固定電話のMNPや電力自由化後の電力会社を変更する作業とは違っている。
そして、MNPワンストップでよく誤解されていことは、これはオンライン限定ということ。おぼろげにMNPワンストップについて頭に入っていて、何も準備せずに(MNP予約番号を取得せずに)ケータイショップに出向いた場合、そこで足止めされてしまう。今回の総務省のサイトでも「オンライン限定」と強調されているような記載は見当たらなかった。