山根博士の海外モバイル通信

トルコの謎スマホビルは健在だった! 猫だけじゃない、スマホで感じるイスタンブールの魅力

文●山根康宏 編集●ASCII

2025年04月18日 12時00分

怪しいスマホが大量展示

8年前に発見したスマホビルを再訪
スマホ代金以外に19万もかかる特殊ルール

 今から8年前、筆者はトルコのイスタンブールを訪れた際、スマートフォンの新品から中古、輸入品などを扱うスマホビルを発見しました。どこの国でもスマートフォンの中古売買は盛んですし、価格差のある海外からの端末を輸入して販売するお店はあるものです。

 イスタンブールのビルはそんなお店が集結している、スマートフォン好きにはたまらない場所でした(BlackBerryやノキアもある! イスタンブールのスマホビルを君は知っているか)。

 バルセロナで開催された「MWC Barcelona 2025」の取材のあと、イスタンブールに立ち寄り、そのスマホビルを久々に訪問しました。

 トルコのスマートフォンには特殊な規制があります。それは120日ルールというもの。これはトルコ国内で正規販売された端末には適応されず、海外から持ち込んだ端末に課せられます。つまり今回訪問したスマホビルで売っている輸入端末などはこの規制にかかります。また登録にはパスポートが必要ですが、1つのパスポートでは3年間に1台しか端末は登録できません。

スマホビルの入り口

 さらに登録料もこの10年で300倍に上がり、2025年時点では4万5953トルコリラ(約19万円)もかかります。格安な輸入スマートフォンを買っても、登録に19万円もかかるなら正規品を買ったほうが安上がりです。そのため輸入品を扱うイスタンブールのスマホビルも、もうビジネスはあがったりで存在そのものがなくなってしまったかと思っていました。しかし、スマホビルを訪れてみると、その熱気は8年前と変わらなかったのです。

ビル内は人の熱気であふれていた

詳細は謎だが世界中のスマホが集まる
むしろ8年前より活気があるかも

 スマートフォンは全メーカーの製品が取り扱われています。iPhoneも当然多いのですが、サムスンやシャオミに交じってTECNOなども見かけます。中古品も同様で、大抵の製品がここでは見つかります。おそらく中古品は一度登録されたものが多いので、そのまま使えるのでしょう。また、輸入品は何かの対策を施して使っているとも考えられますが、詳細は謎です。

各ショップの店頭の様子

 新品だけを扱うお店、中古専門店などビル内に入っている店の数は100どころか200店舗くらいあるでしょうか。地下1階から地上3階まで所狭しとお店が並んでいます。

新品販売店のラインナップの一部

 フィーチャーフォンもまだ需要があるようで、昔のノキア端末の中古も結構見かけます。これらはトルコ内ではなくアフリカなどからの旅行客がバイヤーが買っていくのかもしれません。

懐かしいノキアのフィーチャーフォンの中古も揃っている

 イスタンブールは猫の街。街中あちこちに野良猫がいて、人懐っこくすぐに寄ってきます。猫に会いに行くだけでもイスタンブールは楽しい街ですが、せっかく行くならスマホビルにもぜひ立ち寄ってみてください。

野良猫の数は世界一かもしれない

 筆者も土曜日の昼下がり、公園で野良猫たちと戯れて、MWC取材の疲れをいやしたのでした。蛇足ながらイスタンブール国際空港のトルコエアラウンジは24時間営業で「住める」と思えてしまうほど。来年のMWCもまたイスタンブール経由で行こうかと思案しています。

30分くらい猫と遊んでいた

筆者紹介───山根康宏


 香港在住の携帯電話研究家。海外(特に中国)のスマートフォンや通信事情に精通。IoT、スマートシティー、MaaS、インダストリアルデザインなど取材の幅は広い。最新機種のみならずジャンク品から100万円のラグジュアリーモデルまであらゆる携帯電話・スマートフォンを購入する収集家でもあり、その数はまもなく1800台に達する。

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