FCNTの再出発から1年半、桑山新社長が語る「FCNTらしさとは“安心感”」 (1/2)

文●スピーディー末岡 編集●ASCII

2025年04月30日 12時00分

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FCNT

 2023年から2025年にかけて、FCNTは民事再生からの復活、新端末の発表など、さまざまな変革を経てきた。民事再生から約2年、レノボグループの一員となり、新たなスタートを切ってから約1年半。arrowsやらくらくスマートフォンといった主力端末の再立ち上げを進め、ユーザーの不安も払拭されてきた感がある。

 今回は、4月1日付けでFCNTの副社長から代表取締役社長に就任した桑山泰明氏に、この1年半の手応えやレノボグループとの連携、そして今後の展望について、詳しく話を聞いた。

再立ち上げから1年半の手応えと市場の期待

 まずは桑山社長がFCNTにジョインしてからの手応えについて訪ねると、社内外の多くの方々と会話し、FCNTに対する期待が非常に高かったことを実感したとのこと。それゆえ「もちろん、手応えはありましたが、ちゃんと復活させなきゃいけないというプレッシャーも逆にありましたね」と振り返えった。

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FCNT 代表取締役社長 桑山泰明氏

 昨年、「arrows We2シリーズ」「らくらくスマートフォン」といった新機種を投入した結果、「おかげ様でたくさんの方々にご購入いただきました」と述べ、一定の成果を得られたことを示唆した。特に、従業員のモチベーション向上にも手応えを感じているようで、「社内的にも今、雰囲気が良くなってきています」と明るい表情で語った。

 数々の端末をリリースした中で、最も手応えを感じた機種を尋ねると、桑山社長は「それぞれに手応えは感じましたが、どれかひとつに絞るのはなかなか難しいですね……」と答えつつも、「arrows We2シリーズはかなりの方にお買い求めいただきました。あと新しいコンセプトの「らくらくスマートフォン a」「らくらくスマートフォン Lite」といった製品は、新しい販路で新しいお客様にリーチできましたね」と評価した。

 また、史上最高と謳った「らくらくスマートフォン F-53E」も、「かなりご好評をいただいてます」とのこと。

 arrowsといえば世界初の“自立神経パワー”を計測できる「arrows We2 Plus」も大きな話題になった。「いろんな方にフィードバックをいただいてまして、それぞれの機種に種類の違った手応えがおかげ様でありました」と、幅広い製品ラインナップが好意的に受け止められているという。

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arrows We2 Plus

ゼロスタートの中でレノボグループとの連携は進展

 事業譲渡から約1年半。レノボグループの一員となったことによる変化について尋ねると、以前のFCNT時代を知らないため直接的な比較は難しいとしつつも、「この1年半という期間だけを見ても、FCNTの従業員の皆さんが新しい環境に適用するためにかなり頑張ってくれました」と、社員の適応力の高さを評価した。

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 レノボグループとの連携の目玉は、やはりシナジー効果を生み出すことだ。「必然的にレノボのグローバルのチーム、モトローラのグローバルチームと一緒に仕事をしなくてはいけない」という中で、最初は抵抗もあったものの「この1年半でかなり順応してくれて、一緒にやるんだっていう意識で働いてくれています。一番変わったところってそこだと思います」と、協調体制が築けていることを強調した。

 ただし、レノボのやり方にすべてを合わせるのではなく、「自分たちのやり方で正しいことはちゃんと守ったうえで、良いところはどんどん取り入れていって、両方良いとこ取りをしていこうっていう考え方」で進めていると言う。

 レノボグループにおけるFCNTの立場については、「もちろん変わりました。やっぱり民事再生をした会社なのでゼロスタートだったわけです」と、当初はレノボグループ入りに懐疑的な見方も社内にはあったようだ。しかし「この1年半に発売した機種の売れ行きとか、FCNT社員の順応性とか、これらの成果を高く評価してくれています」と、着実に信頼を築き上げていることを明かした。

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FCNTのロゴもリニューアル

FCNT独自のAI開発と今後の製品展開

 近年注目を集めるAI技術について、FCNTでの開発状況を尋ねると「もちろんAI開発にも投資しています。社内にエンジニアもいますので」と肯定的な回答。「ただ、FCNT単独でやってるというより、レノボグループのAI開発の中で、FCNTもやってますという感じですね」と、グループ全体での取り組みであることを強調した。

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 AI技術をらくらくスマートフォンやarrowsシリーズに搭載するかについては、「いきなり全部の機種にAI載せます! ということではなく、順番にやっていく計画です」と、段階的に導入していくようだ。

 特にらくらくスマートフォンへのAI搭載については、「らくらくのお客様がこの機種を選ぶ理由って、使っていて“迷子にならない”からだと思うんです。フィーチャーフォンもスマートフォンも、何のためにさまざまな機能があるのかと言えば、お使いただいてる時に迷子にならないという点が1番なんです。電話をかける、メールをチェックする、ウェブサイトを見るときなど、どうやってそこにたどり着いたらいいのかわからないと困りますよね。AIをもし、らくらくシリーズに入れるとしたら、そういう視点でAIを作っていくことになると思います」と、ユーザー体験を損なわない形でのAI活用を目指す考えを示した。

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らくらくスマートフォン

 今後の製品展開については、「絶賛検討中です(笑)。以前、折りたたみをやりたいって言ったことあったんですけど、それはやめたわけでもありませんので」と、折りたたみスマートフォンの開発も視野に入れているそうだ。

 ただ、「ハイエンドや折りたたみをやること自体が目的ではなく、やっぱりarrowsはこうだよねって思ってもらえる商品を作ることが第一だと思っています。FCNTの本質だけはブレないようにやっていくつもりです」と、ブランドイメージを損なわない製品開発を最優先に考えていることを強調した。

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