日本のメーカーが日本で元気がないのはダメ
社長就任と今後の意気込み
桑山社長に“社長としての”意気込みや目標について尋ねると、「実は、副社長をさせていただいた時から覚悟を持ってやってきたので、あまり変わらないと言えば変わらないのですが、社長なので当然責任は全然違いますね。そういった意味では責任感はさらに強めてやっていかなきゃいけない」と、責任の重みを改めて感じているようだ。
そのうえで「FCNTは日本のメーカーで、ここは日本の市場です。日本の市場で日本のメーカーが元気がなきゃダメだというのは、常に思っています」と、日本市場への強いこだわりを示した。民事再生という過去を乗り越え「なんとかもう1回歩き始めることができました。日本市場でやってる以上、日本の市場を元気にする立場でなきゃいけないと思ってますから、それは社長としてもこだわって推進していきたいですね」と、日本のモバイル市場活性化への貢献意欲を語った。
今後、社長としてFCNTをどのような会社にしたいかという問いに対しては「安心感、ですかね。これはまだ道半ばだと思ってます。商品にも会社にも安心感を持ってもらいたい。日本らしさって何だろう? 日本のメーカーらしさって何だろう? と考えたときに、FCNTが追求すべき“らしさ”っていうのは安心感なんじゃないかと」と、“安心感”をキーワードに掲げる。
その象徴として、らくらくスマートフォンを挙げ、「昨年の発表会でも説明した、3本柱”シニア””ヘルスケア”“サステナビリティ“は、ベースにあるのは安心感ですから。そこがFCNTの目指すべきポイントです」と、事業の根幹にある安心感という価値を説明した。
グローバル展開への意欲
早く海外版を出せと言われるが
らくらくスマートフォンの海外展開について尋ねると、「本当に、らくらくスマートフォンはレノボの幹部がみんな大ファンなんですよ。いまだに“なんで英語版出さないんだ”って会うたびに言われます。最初は何これって言ってましたが、触ってみたら評価が変わったようで、早く出せって今でも言われています(笑)」と、レノボ上層部からの期待も大きいようだ。
しかし、「そんな単純な話じゃないんですよね。日本のシニアのお客様に1番フィットするように作っている製品なので。あのサイズ感や画面の大きさ、らくらくタッチの押し込む感度とか。なので、海外にそのまま持っていって出すという単純な話ではありません。どうせやるならリサーチをちゃんとやらないと地域ごとのニーズを正確に把握できないですし、やっぱり売れてほしいですからね」と、慎重な姿勢も見せている。
【まとめ】変わらぬ顧客第一主義と着実な歩み
インタビューの最後に、桑山社長は「私自身、本当この業界もまだ全然素人ですし、FCNTも30年以上に渡って携帯事業をやってきた歴史はあるものの、一区切りがあって新生FCNTとして生まれ変わっているので、私もFCNTもまだまだ始まったばかりです。この1年半は新たな第1歩として正しかったと思っていますので、この流れで第2歩、第3歩と地道に着実に進んでいきたいですね。そして、既存のarrowsシリーズとらくらくシリーズのお客様には認めてもらい、さらにファンになっていただける方をもっと増やすことを優先というか、そこを集中してやっていきたいと思っています」と顧客第一主義を貫き、着実に歩みを進めていく決意を表明した。
2023年、衝撃の民事再生から再出発して1年半。FCNTはレノボグループとの連携を深めながら、arrowsシリーズ、らくらくスマートフォンといった主力ブランドを再び市場に根付かせている。桑山社長の言葉からは、過去の経験を活かしつつ、新たな挑戦へ果敢に挑む姿勢がうかがえた。今後、FCNTが日本市場を元気にしてくれることに期待したい。